美空ひばり (女優)

昭和初期に活躍した女優、美空ひばり

美空ひばり（みそら ひばり、1923年2月16日 - ）は、昭和初期に活躍した日本の女優です。本名は高城富久子（結婚後は山本富久子）。東京府北豊島郡日暮里町（現在の東京都荒川区日暮里地域）で生まれました。

松竹歌劇団での活動

1938年、松竹少女歌劇学校を卒業後、松竹歌劇団に入団。この時、芸名を「美空ひばり」としました。同じ歌劇団には、「御空ひばり」という名前の先輩がいましたが、別人です。小月冴子、並木路子、加藤治子（御舟京子）とは同期で、幾野道子よりは1期先輩にあたります。初舞台は浅草・国際劇場でした。

映画界での活躍

1940年、大都映画に入社し、『大陸は微笑む』(1940年) や『時代の狼火』(1941年) 、『太閤への使者』(1941年)など、多くの映画で主演・準主演を務めました。

結婚と引退

1943年に俳優の香取栄二と結婚し、芸能界を引退しました。

もう一人の「美空ひばり」

引退後、数年経ってから、同名の少女歌手・加藤和枝が「美空ひばり」として芸能活動を開始しました。しかし、加藤が芸名を使用するにあたり、山本ひばりへ了解を求めた記録はありません。2010年に東京新聞の取材を受けた山本ひばりは、「面識はなく、偶然の一致」と語っています。また、歌手のひばり（加藤）がデビューした当時、活躍中の加藤を気遣い、山本ひばりは「美空ひばり」であったことを一切明かさなかったといいます。

複雑な心境

山本ひばりは、歌手の美空ひばり（加藤和枝）が同名を使っていることについて、複雑な心境を抱いていたことを明かしています。加藤の人気が高まるにつれ、「自分のかつての芸名と同じだなんて、だんだん人に言う気になれなくなりました」「むしろ、そのことをなるべく隠すようにしていました」と述べています。しかし、日本コロムビアの社内で加藤に会った際には、サインを貰ったことも語っています。

周囲の反応

山本の引退と加藤がひばりの名を使用し始めた時期が近かったため、周囲からは勘違いされることもあったようです。俳優の近衛十四郎は映画ポスターにあるひばりの名を見て、山本の夫である香取栄二に「なんだ、またカミさんは映画に戻ったのか」と尋ねたというエピソードも残っています。

芸名の由来

美空ひばりという芸名は、松竹歌劇団入団時に歌劇団側から提示された3つの名前の中から、本人が選んだものです。当時、歌劇団には「御空ひばり」という先輩がいましたが、山本ひばりもその存在を知っていたようです。

芸名の「美空」については、宝塚歌劇団で男役として活躍していた美空暁子の影響があった可能性も指摘されています。

参考文献

松竹歌劇団編集『松竹歌劇団50年のあゆみ：レビューと共に半世紀』（国書刊行会、1978年）
「恥ずかしながら私こそ初代・美空ひばり」（取材と文：松村喜彦）、『微笑』（祥伝社）1979年2月10日号、160－165頁
西木正明『一場の夢：二人の「ひばり」と三代目の昭和』（集英社、2005年）
本庄慧一郎『幻のB級!大都映画がゆく』（集英社、2009年）
『東京新聞』2010年7月21日付夕刊「『ひばりでした』と言えず」
西川昭幸『日本映画100年史：明治・大正・昭和編』（ごま書房新社、2016年）

外部リンク

* 美空ひばり - 日本映画データベース

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