群馬県道33号渋川松井田線

群馬県道33号渋川松井田線は、群馬県渋川市渋川の下郷交差点を起点とし、安中市松井田町松井田の松井田交差点に至る主要地方道です。この路線は、渋川市の中心部から伊香保温泉、榛名山山頂地域、高崎市倉渕町、地蔵峠を経て、安中市松井田地区で国道18号の旧道をたどり、最終的に国道18号へ接続します。全体として、上毛三山パノラマ街道の一部を形成する重要なルートの一つです。

本路線は、特に観光地へのアクセス路としての役割が大きいのが特徴です。伊香保温泉や、榛名山山頂にある榛名湖、榛名神社などを訪れる観光客にとって、関越自動車道の渋川伊香保インターチェンジから直接繋がる便利なルートとなっています。また、榛名山方面から高崎市の中心市街地や高崎駅へ向かう際にも利用される、地域にとって欠かせない道路です。高崎市榛名湖町の一部区間には、走行するとメロディが流れる榛名湖メロディラインが整備されており、ドライブの楽しみを加えています。

この道路の歴史を振り返ると、かつて渋川から榛名山までの一部区間が有料道路として供用されていた時代があります。これは旧日本道路公団が管理していた「伊香保榛名道路」で、1958年に伊香保までの区間が伊香保道路として開通し、1962年に榛名山までの区間延伸に伴い改称されました。その後、1981年には無料開放され、現在の県道の一部となりました。また、1956年まで運行していた東武伊香保線の一部区間も、現在の本路線上を走っていた時期があります。

路線の起点である渋川市の下郷交差点は国道17号および国道353号と接続しています。ここから国土交通省前交差点にかけては、渋川市街地を抜ける2車線区間です。伊香保温泉に近づくと急な坂道となりますが、比較的カーブは少なく、温泉街を抜けて榛名山頂へ向かうにつれて、曲がりくねった山道へと変化します。この伊香保温泉から榛名山頂までの区間は、多くの部分で2車線が確保されています。

榛名山頂エリアに入ると、榛名湖畔の群馬県道28号高崎東吾妻線との分岐点までは、比較的カーブが少なく2車線の開けた道路が続きます。ここから再び山道に入り、天神峠を越えて高崎市榛名山町の一本木平に至る区間は、群馬県道211号安中榛名湖線との重複区間です。カーブは多いものの多くの場所で2車線が確保されており、高崎・安中方面から榛名山へのアクセスでは大型車が通行できる唯一のルートとなっています。

一本木平から倉渕郵便局前交差点までは、群馬県道125号一本木平小井戸安中線との重複区間です。この交差点を過ぎると、道路は主に1車線となり、急カーブが続く山道となります。倉渕郵便局交差点から高崎市倉渕町権田の東善寺前までの約3.5kmは国道406号との重複区間です。国道406号と分かれた後も、再び1車線区間となり、川田橋で烏川を渡ります。倉渕町水沼へは、重複区間を過ぎた後、国道406号の対岸を戻るような経路をたどりますが、県道125号を経由する方が距離は短くなります。

高崎市倉渕町水沼から安中市松井田町にかけては、大半が1車線ですが、部分的に2車線化された箇所も見られます。特に九十九川沿いの区間は大部分が2車線となっています。途中、唯一のトンネルである天神山トンネルを通過し、国道18号松井田バイパスを立体交差でくぐると、西松井田駅前交差点に至ります。

西松井田駅前交差点からは進行方向を東に変え、安中市松井田町の市街地を通過します。この区間はかつて国道18号だった道で、終点の松井田交差点まで一貫して2車線が確保されています。松井田交差点は国道18号松井田バイパスの起点であり、本路線の終点となります。

地理的には、渋川市街から伊香保温泉までは標高を急速に上げる急坂、伊香保温泉から榛名山頂までは森の中を縫うようなヘアピンカーブ連続のワインディングロードが特徴です。渋川市と高崎市の境にあるヤセオネ峠を越えると、榛名山の内輪山に入り、榛名富士山頂付近は視界が開けた直線が現れます。この直線の先には榛名湖があり、周辺は標高約1100mの高所観光地として賑わいます。湖周辺は四季折々の自然が楽しめ、冬はワカサギ釣り、夏は様々な花が見どころとなります。高崎市倉渕町水沼から安中市松井田町へ向かう区間は、地蔵峠を越える急カーブの細い山道で、安中市に入ってからは碓氷川支流の増田川や九十九川に沿って標高を下げていきます。

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