翰苑
翰苑（かんえん）
翰苑とは、唐代の歴史的な文献であり、著者は張楚金とされる。この作品は、660年以前に子供のための対句練習書として作成されたと考えられており、その後、雍公叡によって注釈が付けられた。現代に伝わるものは、日本の太宰府天満宮に所蔵されている第30巻およびその叙文のみである。
概要
翰苑の内容は、さまざまな民族や地域に関する情報を詳細に記述している。特に第30巻には、「蕃夷部」として知られるセクションが存在し、匈奴、烏桓、鮮卑、倭国、西域など、合計15の項目に分かれている。翰苑は多くの部分が失われているため、全巻数については異なる説が存在するが、『旧唐書』では30巻であり、『新唐書』では7巻と20巻の2つの異説が記載されている。さらに『宋史』でも11巻とされているが、内藤湖南によって30巻であることが確認された。
日本においては、『日本国見在書目録』が30巻とし、また9世紀の滋野貞主による『秘府略』や平安時代末期の『香薬抄』等に翰苑からの引用が残されている。翰苑は一時失われていたが、1917年に太宰府天満宮での宝物調査により、黒板勝美によって再発見された。
この写本は、内藤湖南の解説がつけられた後、1922年に京都大学から影印出版された。1954年には国宝に指定され、1977年には菅原道真の忌事業に関連して、竹内理三による詳しい訳文や訓読文が付された版が刊行された。
重要性と構成
現存する翰苑の写本には、多くの誤字や脱文が見られ、そのために読むのが難しい部分も存在する。しかし、それにもかかわらず、この文献は貴重な資料である。なぜなら、翰苑に収められている多くの文献が現存しないため、影響力が大きい。また、現存する文献でも本文が異なる場合が多く、それが翰苑の特異な立ち位置を際立たせている。特に、日本に関する情報が豊富であり、魚豢の『魏略』を頻繁に引用していることでも知られている。
構成要素
翰苑は以下のような民族や地域についての情報を含んでいる：
刊本情報
以下は翰苑に関する重要な刊本である：
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