聖ヨハネ大学 (上海)

聖ヨハネ大学は、1879年にアメリカ聖公会上海教区の主教ジョセフ・スケレシュースキーによって創設された聖ヨハネ書院を起源とする、中国における初期の高等教育機関です。その教育水準の高さから「東洋のハーバード大学」とも呼ばれました。

1892年に大学課程が設けられ、1905年にはアメリカの大学制度に準拠した「聖ヨハネ大学」として正式に昇格しました。この大学は、アメリカの教会が中国で設立した最初のミッション系大学であり、開校当初から文学院、理学院、医学院、神学院の4学部を有する総合大学でした。1913年には大学院が追加され、1936年からは女子学生も受け入れるようになりました。

この大学の大きな特徴は、全講義が英語で行われた点にあります。そのため、授業料は高額であり、主に裕福な家庭の子弟が通っていました。アメリカの大学として登録されていたため、卒業生はアメリカの大学院への進学も容易でした。

日中戦争中、キャンパスは一時的に分散しましたが、1940年には元の場所に戻りました。しかし、日米開戦後には日本軍に接収されました。第二次世界大戦終結後も、1947年までは国民党政府の管理下に置かれ、引き続き富裕層の子弟の教育機関としての役割を担っていました。

1949年に中華人民共和国が成立すると、政治的な状況が大きく変化しました。1950年にはアメリカ聖公会から離脱し、1952年には新中国の教育制度改革に伴い、大学の文学部と理学部は華東師範大学と復旦大学に、医学部は復旦大学を経て上海第二医科大学となり、さらに2005年には上海交通大学医学部へと統合されました。法学部は、1952年6月に復旦大学など9大学の法学部を統合し、華東政法学院（現・華東政法大学）として再編されました。

なお、国民党政府が台湾に移転した後、聖ヨハネ大学と聖マリア女子中学の卒業生たちが中心となり、台湾に現在の聖ヨハネ科技大学へと繋がる教育機関が設立されています。

大学のキャンパスは、現在の上海市長寧区万航渡路1575号に位置しており、現在は華東政法大学がその地を使用しています。キャンパス内にあった聖ヨハネ座堂は、1970年代に取り壊されました。

聖ヨハネ大学は多くの著名な卒業生を輩出しており、その中には鄒韜奮、兪鴻鈞、兪大維、沈嗣良、林語堂、潘公展、経叔平、栄毅仁、丁光訓、丁士源、宋子文、周詒春、刁敏謙、刁作謙、鍾士元、土橋八千太などがいます。また、教員としては、ジェームズ・テイラー・アディソンや関屋正彦などがいました。

聖ヨハネ大学は、その短い歴史の中で中国の近代化に多大な貢献を果たし、その遺産は今もなお、さまざまな形で受け継がれています。

主な卒業生

鄒韜奮
兪鴻鈞
兪大維
沈嗣良
林語堂
潘公展
経叔平 (中国民生銀行創始者)
栄毅仁
丁光訓
丁士源
宋子文
周詒春
刁敏謙
刁作謙
鍾士元
土橋八千太（元上智大学学長）

主な教員

ジェームズ・テイラー・アディソン
関屋正彦

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