胡イツ棻

胡燏棻（こ いつふん、Hu Yufen）

胡燏棻（1840年 - 1906年）は、清末に活躍した官僚であり、安徽省泗州の出身で、本貫は浙江省紹興府の蕭山県です。彼は政治家として、特に変法自強を訴えたことで知られています。彼の蔵書である字は芸楣または雲眉です。

生涯

胡燏棻は1874年に進士となり、庶吉士に選任されました。その後、散館試を通じて広西省桂林府霊川県の知県に任命されますが、赴任前に捐納して天津道の道員となりました。この時、李鴻章の幕下に入り、天津の地方政治における食糧補給を担当しました。

光緒17年（1891年）には広西の按察使となりましたが、1894年の日清戦争が始まると、彼は呼び戻され清軍の兵站業務に従事しました。しかし、1895年に清朝が敗北し、李鴻章が下関条約の締結のために日本に渡る中、胡燏棻は朝廷の許可を受けて単騎で敗兵に給与を渡し解散を進めました。

朝廷は新たに新兵の募集を行い、同年11月には「定武軍」を組織しました。胡燏棻はこの新軍の訓練を任され、小站（現在の天津市津南区）での訓練に着手しました。この訓練は「小站練兵」として知られています。

近代化策の提案

胡燏棻は、近代化の必要性を感じ、次の10項目から成る改革案を上奏しました：

1. 鉄道網の構築：漢口から北京への幹線を中心に、支線も整備する。
2. 独自通貨発行：国内の通貨流通を促進し、外国貨幣への依存を減少させる。
3. 国産機械の生産：民間工場での銃砲や船舶の生産を奨励し、資金の流出を抑制。
4. 鉱山開発：鉄道や貨幣鋳造、機械製造に必要な鉱物資源を確保。
5. 銀支給制度の導入：南方からの米輸送を減らし、役人や軍の給与を銀で支給。
6. 兵員数削減：軍隊の規模を見直し、精強化を図る。
7. 郵便制度の導入：郵便システムを作ることで効率化を図る。
8. 陸軍訓練の充実：将校教育の強化、装備の統一、規律の確立。
9. 海軍組織の整備：地方海軍の統一的な指揮を確立。
10. 各レベルの学校設立：農学や商学に加えて、軍事や専門的な教育機関も設立。

また、武科挙の停止や兵員の西洋式装備なども提案しました。これらの提案は多くが受け入れられ、特に天津と北京を結ぶ津盧鉄道の建設が決定され、胡燏棻はその責任者に任命されました。さらに彼は、光緒23年（1897年）には関内外鉄路督弁に、光緒25年（1899年）には総理各国事務衙門大臣に就任しました。

光緒26年（1900年）、義和団が北京に入ると、彼は西洋人との繋がりを疑われ危険な状況に置かれましたが、何とか難を逃れました。その後も政界での地位を保ちつつ、礼部侍郎や郵伝部侍郎を歴任しますが、同年に病により帰らぬ人となります。

胡燏棻が指揮した定武軍はその後袁世凱に引き継がれ、新軍として再編成されました。この軍は後に北洋軍閥へと成長していきました。

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