胡国珍

胡国珍（ここくちん）

胡国珍（439年 - 518年）は、北魏の外戚であり、霊太后の父として、また孝明帝の外祖父として知られています。字は世玉といい、本貫は安定郡臨涇県です。

生涯

胡国珍は胡淵の子として生まれました。若い頃から学問を好み、清廉で実直な態度を重んじました。491年（太和15年）に父の武始侯の爵位を継ぎましたが、翌年には爵位を伯に降格されました。彼の娘（後の霊太后）が選抜されて宣武帝の後宮に入り、皇子（後の孝明帝）を生んだことが、彼の運命を大きく変えることになります。

515年（延昌4年）に孝明帝が即位すると、胡国珍は光禄大夫の位を受けました。霊太后が臨朝称制を行うと、彼は侍中に任じられ、安定郡公に封じられました。任城王元澄の推挙により、禁中への出入りを許され、朝政の諮問を受けるようになります。同年10月には、侍中のまま中書監・儀同三司に進み、高陽王元雍、清河王元懌、広平王元懐と共に門下に入り、国政全般を監督する重要な役割を担いました。その後、崔光と共に孝明帝に経学を講義し、禁中で宿直することもあったと記録されています。刑事行政についても意見を上表し、その多くが実行されました。

516年（熙平元年）8月には、使持節・都督雍涇岐華東秦豳六州諸軍事・驃騎大将軍・開府儀同三司・雍州刺史という数々の要職を加えられました。しかし、霊太后は彼の老齢を気遣い、実際に雍州へ赴任させることはありませんでした。517年（熙平2年）4月には、侍中のまま司徒公に上り、その地位をさらに高めました。

胡国珍は仏教を深く信仰し、時節に応じて心身を清めて礼拝を行いました。高齢でありながらも、馬に乗りこなすことができたと言われています。

518年（神亀元年）4月12日に、胡国珍は80歳で亡くなりました。その功績を称えられ、仮黄鉞・使持節・侍中・相国・都督中外諸軍事・太師・領太尉公・司州牧の位が追贈され、太上秦公と追号され、九錫が加えられました。諡は文宣公です。

家族

胡国珍は皇甫氏と梁氏の二人の妻を娶りました。

妻:
皇甫氏（？ - 502年）：京兆郡君、秦太上君、昭霊后
梁氏：継室。趙平郡君。胡祥の母。
子女:
霊太后
胡玄輝：馮翊郡君
胡祥：字は元吉。安定公の爵位を継ぎ、殿中尚書・中書監・侍中を歴任。東平郡公に改封。
養子:
胡僧洗（？ - 537年）：胡国珍の兄である胡真の子で、養子となる。字は湛輝。爰徳県公に封じられ、中書監・侍中となり、濮陽郡公に改封。

伝記資料

『魏書』巻83下 列伝第71下
* 『北史』巻80 列伝第68

もう一度検索