臨床化学

臨床化学の概要

臨床化学は、体液を分析することで診断や治療を行うための化学分野です。英語では「clinical chemistry」と言い、化学病理学や臨床生化学とも呼ばれています。この分野は生化学の応用にあたり、医薬品開発の基礎研究を行う医薬品化学とは区別されます。

歴史と発展

臨床化学は19世紀後半に始まり、当初は血液や尿の成分を簡単な化学反応で検査する方法が用いられていました。この数十年の間に、科学と技術の進展が進み、小さな検査から大規模な分析法まで、さまざまな技術が導入されてきました。例えば、酵素活性の測定、分光測色法、電気泳動法、免疫測定法などの技術が進化し、現在では多彩な血液検査や尿検査が実施されています。

現代の臨床検査室の特徴

今日のほとんどの検査室は自動化が進んでおり、病院での高い作業負荷に対応できる設備が整っています。各検査は厳密に監視され、品質管理が徹底されています。すべての生化学検査は化学的病理学に分類され、主に血清や血漿を対象に行われます。

血清と血漿の違い

血清とは、血液が凝固した後に残る液体部分で、血液の黄色い水のようなものです。一方、血漿は、血液を凝固させずに遠心分離することで得られる液体で、いずれも体液の重要なサンプルです。どのタイプのサンプルを使用するかは実施する試験の内容によって決まります。

検査の種類

大規模な臨床検査ラボでは、700種類以上の検査用サンプルを処理することもありますが、全ての試験を自前で行うことは少なく、専門のラボに依頼することもあります。この膨大な試験は、いくつかの専門領域に細分化することができます。

主な専門領域

1. 一般または定型化学: 一般的な血液生化学検査（例: 肝機能検査、腎機能検査）
2. 特殊化学: 精巧な技術を用いる試験（例: 電気泳動）
3. 臨床内分泌病理学: ホルモンや内分泌疾患の診断
4. 毒物学: 乱用薬物や化学物質の分析
5. 治療薬物モニタリング: 薬物レベルの測定による投薬最適化
6. 尿検査: 尿の分析を通じた疾病の調査、脳脊髄液や胸水の分析
7. 糞便分析: 消化器系疾患の検出に関連

具体的な検査項目

一般的な臨床化学検査には、以下の項目が含まれます。これらは、電解質の測定、肝機能や腎機能に関連する検査、心臓マーカーの測定、脂質の分析など多岐にわたります。たとえば、ナトリウム、カリウム、肝機能に関するアラニンアミノ基転移酵素（ALT）やビリルビンなどがあり、各種の疾患を評価するために重要なデータを提供します。

パネル検査

また、基礎代謝パネル（BMP）や包括的代謝パネル（CMP）といったパネル検査もあり、多数の項目を一度に検査することができます。これにより、効率的に患者の健康状態を把握することができます。

参考文献と資料

この分野に関する詳細な資料は、臨床化学の専門書や各種の専門機関のウェブサイトで確認することができます。

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