自主管理教会

自主管理教会とは

自主管理教会（じしゅかんりきょうかい、ロシア語: Самоуправляемая церковь）は、1990年代にロシア正教会で導入された概念です。これは、大規模な領域的教会組織であり、自治正教会（ロシア語: Автономная церковь）とは異なる特別な地位を伴います。

同様の組織概念は、アンティオキア正教会にも存在し、「self-ruled」と表現されます。

ロシア正教会における自主管理教会

2000年に制定され、2008年に修正されたロシア正教会規則によると、モスクワ総主教庁の下にある自主管理教会は以下の通りです。

ラトヴィア正教会（ロシア語: Латвийская православная церковь）
モルドヴァ正教会（ロシア語: Православная церковь Молдовы）
エストニア正教会（ロシア語: Эстонская православная церковь）
在外ロシア正教会（ロシア語: Русская православная церковь заграницей (РПЦЗ)）
ウクライナ正教会 (モスクワ総主教庁系)（ロシア語: Украинская православная церковь）：「自治正教会の広い権をもつ自主管理教会」（ロシア語: самоуправляемая с правами широкой автономии）と定義されています。

2007年5月17日、在外ロシア正教会とロシア正教会の間で教会法上のコミュニオンに関する文書が署名され、在外ロシア正教会も同様の地位を得ました。この文書には、「在外ロシア正教会は…ロシア正教会の固有の自主管理される部分としての地位にある」と明記されています。

アンティオキア正教会における自主管理教会

アンティオキア正教会の下では、北米正教大主教区が同様の自主管理教会（英語: self-ruled）の地位を有しています。この地位は、2003年10月20日にアンティオキア総主教庁の聖シノドから与えられました。

正教会の分類

正教会は、組織構造や承認状況によって、いくつかのカテゴリーに分類できます。以下に主な分類を示します。

独立正教会：他教会からの承認を得て独立している教会。
例：アメリカ正教会、アルバニア正教会、アレクサンドリア教会、アンティオキア教会、ウクライナ正教会 (2018年設立)、エルサレム教会、キプロス正教会、ギリシャ正教会、グルジア正教会、コンスタンティヌーポリ教会、セルビア正教会、チェコスロバキア正教会、ブルガリア正教会、ポーランド正教会、ルーマニア正教会、ロシア正教会
自治正教会：独立教会から自治権を与えられた教会。
例：エストニア使徒正教会、シナイ正教会、正統オフリド大主教区、中国正教会、日本ハリストス正教会、フィンランド正教会
自主管理教会：自治正教会とは異なる特別な地位を持つ教会。
例：アンティオキア正教会北米大主教区、ウクライナ正教会 (モスクワ総主教庁系)、エストニア正教会、在外ロシア正教会、モルドバ正教会、ラトビア正教会

正教会の組織構造は複雑であり、各教会の承認状況や自治権の範囲も異なります。「ロシア正教を信仰する」という表現は、正教会全体の信仰を指すものではない点に注意が必要です。

関連項目

エクザルフ

外部リンク

Гл. VIII Устава РПЦ: Самоуправляемые Церкви （ロシア語）
Цыпин Владислав протоиерей. Церковное право. Глава: 38. САМОУПРАВЛЯЕМЫЕ ЦЕРКВИ И ЭКЗАРХАТЫ （ロシア語）
* ニコライ堂司祭、正教会への誤ったステレオタイプを例証　世界の正教会について講演 : 教会 : クリスチャントゥデイ（ユーラシア・セミナー「世界中の独立正教会と自治正教会」）

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