アルバニア正教会

アルバニア正教会について

アルバニア正教会（Kisha Ortodokse Autoqefale e Shqipërisë）は、20世紀に設立された正教会の中で最も新しい独立した教会の一つです。正教会の原則では、各国に一つの教会組織を持つことが基本ですが、アルバニア正教会はその例外として扱われています。教会はアルバニア人とその文化に深く根ざしており、同じ信仰を持ちながらも多様な宗教的背景を持っています。

概説

教会は創立以来、数多くの困難な時代を経てきました。初期のころは奉神礼にギリシャ語が使用されていました。これはアルバニア民族主義者にとっては脅威と映り、教会の自主性を求める運動が活発化しました。特に第二次世界大戦中、教会は抑圧を受け、その後の共産主義体制下では1967年に「無神論国家」と宣言され、すべての公私において信仰を表明することが禁止されました。しかし、1991年に信仰の自由が復活し、教会の復興が始まりました。この動きには250を超える教会の再建や改修、100人以上の聖職者の叙聖が含まれていました。現在では、アルバニア正教会は4つの教区を持っています。これらはティラナとドゥラス、ベラトとカニナ、ギロカストラ、コルチャです。

歴史的背景

アルバニアのキリスト教は、紀元1世紀にバルカン半島に訪れた使徒パウロとユダヤの伝道者たちによって設立され、長い歴史があります。民族主義者サミ・ベイ・フラシェリは、教会の奉神礼からギリシャの要素を排除し、アルバニア語を使用するよう求めました。この独立した教会の概念は、ルーマニアの新聞に初めて提案されました。そして、1937年にファン・ノリによってアルバニア正教独立教会が正式に組織され、総主教からの承認を得るに至ります。

共産主義による抑圧

アルバニア人民共和国の最高指導者エンヴェル・ホッジャが独裁体制を敷くと、教会は国家に従属させられ、重大な受難の時期を迎えました。宗教施設の土地は国家に接収され、学校での宗教教育は禁じられました。1952年には大主教クリストフォルが不審死を遂げ、1967年にはアルバニアが公式に無神論国家を宣言。全国の教会やモスクが閉鎖され、宗教活動の表明が違法とされました。それに伴い、多くの宗教家が投獄や粛清の対象となりました。

復興

共産党政権の末期、信仰の自由が徐々に回復し始めますが、当時生存していた司祭は22名しかいませんでした。コンスタンディヌーポリ総主教ヴァルソロメオス1世が、アテネ大学の神学者アナスタシオスをアルバニア正教会の総主教代理に指名します。彼は1992年にティラナ大主教に就任し、教会の復興に尽力しました。アナスタシオスは、教会の再生は「アルバニア人の」ためのものでなければならないと訴えつつも、ギリシャ正教会の影響が強まりました。

現在の状況

大部分の小教区ではアルバニア語が利用されていますが、ギリシャ語やアルーマニア語が支配的な地域では、奉神礼でギリシャ語の使用も見られます。また、多くの正教徒がアルバニアを離れ、国外で生活する状況が続いています。これに伴い、アルバニアの小教区の司祭職が充足されないままとなっています。教会の未来には依然として多くの課題が横たわっています。

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