中国正教会

中国正教会

中国正教会は、中国における正教会の組織です。中国大陸では「中华东正教会」と称されます。その起源は、ロシア正教会モスクワ総主教庁が清朝に派遣した宣教団に遡ります。

歴史

ロシア正教会中国宣教団

元代に最初の伝道者が中国に入りましたが、定着には至りませんでした。1684年、アルバジンで捕虜となったロシア人たちが北京に送られ、司祭マキシム・レオンチェフが最初の教会「聖ニコライ教会」を開きました。1713年には、イオアン・マキシーモヴィッチが率いる宣教団が北京に到着しましたが、中国人への布教は禁じられ、アルバジン人やロシア人商人の司牧に限定されました。1858年の天津条約により布教が自由化され、宣教団は中国学研究書を出版し、イアキンフ・ビチュリンやパルラディ・カファロフといった学者を輩出しました。

中国化とロシア革命の影響

1882年には、ミトロファン楊吉が中国人初の正教司祭となり、中国語での礼拝を始めました。義和団の乱では多くの信徒が犠牲となりましたが、1902年にはインノケンティー・フィグロフスキー主教が中国人の布教に注力し、教会を中国化しました。ロシア革命後、多数の正教徒が中国に移住し、教会の発展を促しましたが、モスクワ総主教庁との関係は複雑化しました。1945年、中国正教会はモスクワ総主教庁の管轄下に入りましたが、一部は在外ロシア正教会に留まり、分裂状態となりました。

中華人民共和国成立から文化大革命まで

中華人民共和国成立後、外国勢力の排除が進み、正教会も対応を迫られました。1960年代前半までに多くのロシア系信徒が出国し、文化大革命では聖職者が迫害され、教会は破壊されました。1980年代に宗教政策が緩和されるまで、教会の活動は実質的に停止しました。

文革前の教会

北京府主教区
主教座聖堂：至聖生神女就寝教会
天津主教区
主教座聖堂:生神女庇護聖堂
上海主教区
主教座聖堂：生神女大聖堂、聖ニコライ教会
漢口補佐教区
漢口アレクサンドルネフスキー教会
ハルビン主教区
聖ニコライ聖堂、生神女福音教会、聖イヴェルスカヤ教会、聖ソフィア大聖堂、ハルビン聖アレクセーエフ教会、生神女庇護聖堂、至聖生神女就寝教会
大連ロシア正教会

現況

現在、正教会の活動は新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、黒竜江省で承認されています。ハルビン市、アルグン市、ウルムチ市、伊寧市には教会があり、チョチェク市では再建が進んでいます。2016年には、アレクサンドル遇石輔祭が60年ぶりに叙任され、復活祭の礼拝を行いました。

現在の主教区

現在、中華人民共和国において主教は不在です。

黒竜江省
中国正教会ハルビン主教区：生神女庇護聖堂、洗礼者聖イオアン礼拝堂
内モンゴル自治区
内モンゴル正教会聖インノケンティー教会
新疆
ウルムチ市正教会、伊寧市正教会
北京
至聖生神女就寝教会（ロシア大使館内）
上海
聖ニコライ教会

香港の正教会

1930年代にロシア人正教徒が香港に逃れ、1933年に聖ピョートル聖パーヴェル教会が開かれました。その後、モスクワ総主教庁の管轄下に入りましたが、1970年に閉鎖されました。1996年にはコンスタンティノープル総主教庁が香港および東南アジア府主教区を設置し、聖ルカ大聖堂を開きました。モスクワ総主教庁も香港で聖ピョートル聖パーヴェル教会の活動を再開しています。

分類

正教会は、独立正教会、自治正教会、自主管理教会などに分類されます。中国正教会は一部の教会からのみ承認されている自治正教会という扱いになっています。

脚注

詳細は関連項目を参照してください。

外部リンク

中国正教会 （中国語）
中国正教会の歴史と現状 ― 中国と香港の正教会とロシア，日本
ロシア正教会と中国 ─北京宣教団設立 300 周年に寄せて─

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