自然七の和音

自然七の和音について

自然七の和音（しぜんななのわおん）は、長三和音に自然七度の音程を加えた特別な和音です。この自然七度は、通常の短七度音程よりもやや狭く、648.77セントという感覚的に美しい響きを持っています。音楽の分野では、特にブルースやバーバーショップ音楽のスタイルでよく使用されています。バーバーショップ音楽を演奏する人々は、この和音を「バーバーショップの七度」と呼びます。このような音楽は、純正律に基づいて演奏されることが多く、自然七の和音はその音楽において特に重要な役割を果たしています。

自然七の和音は、平均律に調律された楽器では演奏が難しく、それゆえにしばしば属七和音で代用されます。このような習慣から、自然七の和音は属七の和音として表示されることが多く、具体的な例ではブルース進行における「I7 - V7 - IV7」といった和音が挙げられます。これにより、演奏者は聴衆に深い感情を伝えることができるのです。

また、長三和音に自然七度を加えた自然七の和音は、特定のフレーズでもよく耳にします。例えば、「ハッピーバースデートゥーユー」の歌の最後に歌われるフレーズ「and many more!」では、特に「more」が自然七の和音で歌われることが一般的です。これは、楽曲が持つ響きに一層の深みを与えてくれます。

バーバーショップの七度

バーバーショップの七度は、バーバーショップ音楽の演奏時に用いられる特定の和音タイプを指します。バーバーショップ音楽を演奏する人々は、短三長七や属七の和音を駆使し、和音を豊かにアレンジします。彼らの経験則によれば、一曲の中に属七和音が35%から60%程度含まれていると、よりバーバーショップらしい響きが実現できると言われています。この考え方を基にアレンジされた音楽は、多くの聴衆に喜ばれています。

バーバーショップ音楽のスタイルでは、ドミナント機能を持つ短三長七の和音が多く使われ、主和音と絡み合うことが特徴的です。1940年代のバーバーショップ音楽リバイバル期には、既存の和音に対して意図的に純正音程で調整され、共通音を多くすることで、質の高いハーモニーが生み出されました。歌声は、「恵みのある」「広がりのある」「力強い」と称される豊かな響きを実現しました。このような試みは、1944年に発行された「Harmonizer」という雑誌で初めて称賛されたのです。

たとえば、音の周波数を100Hz、125Hz、150Hz、175Hzに合わせた属和音では、根音に対して自然七度の音程が効果的に生かされています。

バーバーショップの七度のボイシングは、根音や五度音が最低音（バス音）となるように設計されています。このような密集した和声の響きは、バーバーショップ音楽の重要な特徴の一つとして知られています。最終的に、純正律で調整されたバーバーショップの七度は、自然七の和音として認識されます。音楽の世界における自然七の和音とバーバーショップの七度は、感情を表現し、聴く人の心を動かすための重要な要素です。

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