舟橋

舟橋について

舟橋（ふなばし、船橋）とは、河川に浮かぶ船の上に板を敷いて作られる橋のことです。多くの場合、仮設の目的で利用されますが、時には常設の構造として維持されることもあり、さまざまな地域と時代でその例が見受けられます。

構造

舟橋の特徴的な構造を見てみましょう。例えば、起の舟橋（おこしのふなばし）では、船が川幅いっぱいに並べられ、舳先を川上に向けて配置されます。これらの船は錨を用いて川底に固定され、さらには横板が船の上に設置されます。上下左右の揺れを抑えるために、鉄の鎖や藤綱が利用されることもあります。また、船同士は藁綱で結ばれ、岸や川の大きな杭に留められます。両岸には護衛が立ち並び、通行する人々を守る役割を果たします。

歴史

古代中国

舟橋の起源は古代中国に遡ります。周代の文献『詩経』には、紀元前11世紀に周の文王が舟橋を造ったとの記述がありますが、重要な歴史家であるジョゼフ・ニーダムは、これが後の編集によるものであり、実際には紀元前9世紀または8世紀に仮設舟橋が発明されたと指摘しています。また、半永久的な舟橋が秦朝の時代に建設されたことも文献に残っており、宋朝の政治家Cao Chengも言及しています。

ギリシャ・ローマ時代

ギリシャの作家ヘロドトスは著作『歴史』において、舟橋に関するいくつかの事例を挙げています。特にペルシャ王ダレイオス1世は、ボスポラス海峡を渡る際に1.2kmにも及ぶ舟橋を利用しました。さらに、ローマ帝国の皇帝カリグラが西暦37年にバイアで3.2kmの舟橋を設計・建設したとの記録もあります。

日本の舟橋

日本では、舟橋の初見は奈良時代に遡ると言われています。天平17年（745年）には、恭仁宮還幸の際に木津川の浮橋についての記録が存在します。また、伊勢神宮近くの宮川にも舟橋がかけられていたとされ、朝廷からの使者による記録も残っていますが、舟が乱れて使者の馬が川に流されるなど、舟橋には挑戦も伴いました。

平安時代末期までには、天皇の行幸の際に舟橋を仮設する事例や、流されてしまった舟橋に関する多くの話も記録されており、『万葉集』には舟橋にまつわる歌も詠まれています。

地方の舟橋

濃尾平野の舟橋

日本国内では、特に濃尾平野において、佐渡川や墨俣川、小熊川、起川など、数多くの舟橋が存在しました。特に起川の舟橋は日本最長で、475間3尺（約860メートル）の長さを誇りました。他の地域でも、舟橋は様々なイベントや通行に利用されており、風俗や文化の一部としても重要でした。

現代の舟橋

今日でも世界各地で舟橋が存在し、技術の進化と共にその形態も変わっています。アメリカのエバーグリーンポイント浮橋は、現存する舟橋の中で最長を誇ります。

また、南米のABC諸島にあるクイーン・エマ橋は、木造のポンツーン橋として有名で、1888年に建設され、いまだに使われています。

まとめ

舟橋は、時代や地域を問わず、人々の生活や文化に密接に関わってきた橋の一形態です。多くの歴史的背景や構造的特徴を持つ舟橋は、今日でも引き続きその重要性を持っています。

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