航空路管制

航空路管制とは

航空路管制は、計器飛行方式（IFR）に基づき、主に航空路を飛行中の航空機に対して行われる航空交通管制です。この管制は、航空機の安全かつ効率的な運航を確保するために不可欠なものであり、各国の空域管理体制によってその形態は異なります。ここでは、主に日本の航空路管制について解説します。

日本の航空路管制体制

日本の航空路管制業務は、国土交通省の航空交通管制部（ACC）が管轄する管制区管制所によって実施されています。福岡飛行情報区（FIR）内においては、以下の機関が航空路管制を担当しています。

航空交通管理センター（ATMC）：太平洋上空の洋上管制区を担当。
札幌航空交通管制部（札幌ACC）：北海道を中心とした空域を担当。
東京航空交通管制部（東京ACC）：関東地方を中心とした空域を担当。
福岡航空交通管制部（福岡ACC）：九州地方を中心とした空域を担当。
神戸航空交通管制部（神戸ACC）：近畿地方を中心とした空域を担当。

かつて存在した那覇航空交通管制部（那覇ACC）は、2018年10月1日に廃止されました。

各航空交通管制部は、管轄空域をさらに細分化した「セクター」と呼ばれるエリアごとに業務を行っています。特に、東京航空交通管制部は23ものセクターに分割されており、より緻密な管制が実施されています。

追跡体制の強化と技術革新

2000年代には、運輸多目的衛星（MTSAT）である「ひまわり6号」と「ひまわり7号」が打ち上げられ、航空路管制に大きな進展をもたらしました。これらの衛星を活用することで、洋上やVHF通信が届きにくいエリアを飛行する航空機との間で、データ通信が可能になりました。これにより、これまでレーダー追跡が困難だった洋上空域での航空機運航本数が増加しました。

MTSATの導入は、航空機の安全性を高めるだけでなく、運航効率の向上にも貢献しています。具体的には、以下のような効果が得られています。

飛行経路間隔の短縮：左右方向の航空機間隔をより短く設定できるようになりました。
管制縦間隔の短縮：前後方向の航空機間隔をより短く設定できるようになりました。
垂直管制間隔の短縮：短縮垂直間隔（RVSM）を導入することで、上下方向の航空機間隔をより短く設定できるようになりました。
航空路保護空域の縮小：航法精度要件（RNP）を満たす航空機は、広域航法（RNAV）を利用することで、航空路の保護空域を縮小し、並行経路間隔を短縮して運航本数を増やすことが可能になりました。

まとめ

航空路管制は、航空機の安全運航を支える重要なシステムであり、技術革新によってその機能は常に進化しています。MTSATなどの衛星技術の活用は、洋上空域における航空交通管制の効率化を大きく促進し、航空輸送の安全性と効率性の両立に貢献しています。

関連情報

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航空管制官
国土交通省
* 航空交通管制部

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