芦野駅

芦野駅

芦野駅（あしのえき）は、北海道北部、宗谷郡猿払村字芦野に位置していた、現在は廃止された鉄道駅です。日本国有鉄道（国鉄）を経て北海道旅客鉄道（JR北海道）によって運営される天北線に属していました。電報略号は「アノ」、事務管理コードは▲121912でした。天北線の全線廃止に伴い、その役目を終えました。

歴史

駅の開業は、大正時代に遡ります。1920年（大正9年）11月1日、鉄道省宗谷本線の浅茅野駅から鬼志別駅への延伸線開通と同時に開設されました。当初は貨物や荷物も取り扱う一般駅として営業を開始しています。

その後、路線の所属名が何度か変更されています。

1930年（昭和5年）4月1日：宗谷本線のうち、音威子府駅と稚内駅間が北見線として分離され、当駅も北見線の所属となります。
1949年（昭和24年）6月1日：国鉄法の施行に伴い、公共企業体である日本国有鉄道の駅となります。
* 1961年（昭和36年）4月1日：北見線の一部区間が天北線と改称され、再び所属路線名が変わりました。

昭和後期に入ると、駅の機能は縮小されていきます。1973年（昭和48年）9月17日には、貨物と荷物の取り扱いが廃止され、同時に列車交換用の設備運用も停止されました。これにより、駅員が配置されない無人駅（簡易委託駅）となりました。簡易委託駅としては、近隣の個人や駅舎内にて乗車券の販売が続けられました。

国鉄分割民営化により、1987年（昭和62年）4月1日からはJR北海道の駅となります。しかし、天北線自体の廃止が決まっていたため、JR移管からわずか2年後、1989年（平成元年）5月1日に天北線の全線廃止に伴い、70年近い駅の歴史に幕を下ろしました。

駅名の由来

駅名は、開業当時、この地域一帯がアシ（ヨシ）が広範囲にわたり群生している平野であったことに由来して名付けられたとされています。

駅構造

駅が廃止された時点では、単式ホーム1面1線を有する地上駅でした。ホームは線路の西側、南稚内駅方面に向かって左手に設けられており、列車交換のための分岐器を持たない棒線駅となっていました。

しかし、かつては相対式ホームが2面設けられ、列車交換が可能な構造でした。

駅員が配置されない無人駅化後も、かつて有人駅として使用されていた木造駅舎が残されていました。駅舎は構内の西側に位置し、ホームの中央部分に接続していました。建物自体は古い木造建築でしたが、出入口部分の窓枠のみアルミサッシに変更されていました。また、ホームには花壇が整備され、手入れがされていた記録があります。簡易委託駅として駅務にあたっていたのは、1983年（昭和58年）時点では70歳を過ぎた高齢の男女だったと伝えられています。

駅周辺

駅の周辺には、天北線の廃線跡を舗装して整備された北海道道1089号猿払鬼志別線や、オホーツク海沿いを走る国道238号線（オホーツクライン）といった主要道路があります。また、教育施設としては芦野小学校が近くに位置していました。

少し離れた北方向には、サハリンや利尻富士を遠望できる村営猿払牧場（約2.5km先）や、1945年（昭和20年）に発生したインディギルカ号遭難事故の犠牲者を追悼するインディギルカ号慰霊碑（約3.2km先）があります。周辺の自然環境としては、猿骨川や猿骨沼といった地形も見られます。

天北線の廃止後は、宗谷バスの路線が地域輸送を担っており、「芦野」停留所が設けられています。

駅跡の現状

天北線の廃線跡のうち、猿払駅から当駅、そして鬼志別駅に至る区間は、前述のように北海道道1089号猿払鬼志別線へと転用されています。2001年（平成13年）頃の状況としては、猿払駅から当駅跡までの区間は道路として完成していましたが、鬼志別駅方面は工事中でした。その後、2010年（平成22年）頃までには鬼志別駅跡まで全線が完成し、上下2車線の整備された道路となっています。

当駅の跡地は、現在、交通公園として整備されており、かつて駅があったことを偲ばせています。

隣の駅

北海道旅客鉄道 天北線における当駅の隣駅は以下の通りです。

猿払駅 - 芦野駅 - 鬼志別駅

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