苑田勇一

苑田勇一

苑田勇一（そのだ ゆういち、1952年3月30日 - ）は、日本の囲碁棋士。大阪府出身。関西棋院に所属し、九段の段位を持つ。

人物

小川正治七段門下。

中央を重視する独創的な棋風で知られ、「西の宇宙流」と称される。厚みを重視し、大模様を目指すスケールの大きな碁は「苑田流」とも呼ばれる。独特の囲碁理論を持ち、「活きた石の近くは小さい」「美人（弱石）は追わず」「地は囲わず囲わせる」といった格言でも知られる。

左利きであり、左手で碁石を打つ。

経歴

1968年：入段
1977年：棋聖戦八段戦で優勝。天元戦決勝に進出するも、島村俊廣九段に敗れ準優勝。
1978年：九段に昇段。
1983年：棋聖戦九段戦で5位入賞。最高棋士決定戦に進出するも、林海峰に敗れる。
1986年、1988年：天元戦で挑戦者となるも、小林光一、趙治勲にそれぞれ敗れる。
1998年：碁聖戦挑戦者となるも、依田紀基に敗れる。
関西棋院第一位決定戦では3回優勝。1994年には弟子の今村俊也九段と決勝を争い敗れる。
2001年：NHK囲碁講座「苑田流基本戦略」の講師を務める。
2022年：テイケイ杯レジェンド戦優勝。

門下に今村俊也九段、田村千明二段らがいる。

タイトル歴

関西棋院第一位決定戦：3回（1983年、1984年、1995年）
テイケイ杯レジェンド戦 (2022年)

その他の棋歴

棋聖戦：最高棋士決定戦準優勝（1983年）、八段戦優勝（1978年）
天元戦：準優勝（1977年）、挑戦者（1986年、1988年）
碁聖戦：挑戦者（1998年）
日中囲碁決戦
1986年：2-1 馬暁春
1987年：1-2 曹大元、2-1 劉小光
日中スーパー囲碁
1989年：1-2（○揚士海、×張文東）

独自手法

星の定石において、白が2線にスベってきた場合に、隅の受けに回らず、黒が高圧する手法を打ち出し、普及させた。

対局譜

趙治勲に先勝

第14期天元戦挑戦手合五番勝負第1局 趙治勲天元 - 苑田勇一九段(先番) 1988年11月17日

第14期天元戦で苑田は、1回戦でマイケル・レドモンド、2回戦で工藤紀夫に勝利。準々決勝は対戦相手の依田紀基が病気で不戦勝、準決勝で武宮正樹、決勝で小林覚を破り、3度目の五番勝負出場を決めた。第1局では、15手目に苑田独特の広げ方を見せ、白が10手目に手を抜いた隙に、11手目から15手目にかけて上辺を拡大。その後、白が右上に侵入するも、黒は巧みな打ち回しで下辺から上辺につながる大模様を築いて優勢とし、中央から下辺に侵入した白石を捕獲して半目勝ちを収めた。

第2局以降も、苑田の大模様に趙が踏み込む展開となり、4局目も苑田が半目勝ちを収めて2-2としたが、第5局は敗れて、天元獲得はならなかった。

著書

『苑田勇一の大模様はこうして勝て』誠文堂新光社 2000年
『五段の壁を破る発想転換法』棋苑図書 2000年
『苑田勇一流基本戦略』日本放送出版協会 2001年
『囲碁観が180°変わる苑田流格言 楽に身につくプロの常識』毎日コミュニケーションズ 2004年
『苑田勇一の打っていい場所・悪い場所』NHK出版 2004年
『苑田流 死活と手筋から考える布石』毎日コミュニケーションズ 2005年
『苑田流格言実戦講義 楽に身につく「場」の定義法』毎日コミュニケーションズ 2005年

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