荒川橋梁 (東北新幹線)
荒川橋梁（あらかわきょうりょう）は、東京都板橋区舟渡と埼玉県戸田市堤外の間で、一級河川である荒川に架けられた重要な鉄道橋です。この橋は、首都圏と北日本を結ぶ大動脈である東北新幹線と、都心と埼玉県南部を結ぶ通勤路線である埼京線（東北本線支線）が乗り入れる複々線構造となっています。具体的には、橋の上部に新幹線用と在来線用の線路がそれぞれ独立して配置されています。荒川の河口から25.0キロメートルの地点に位置しており、約70メートル上流側には国道17号の戸田橋が近接して架かっています。
構造と設計の工夫
この橋梁の主橋梁部の長さは521.200メートル、橋全体の幅員は20.700メートルです。内訳として、新幹線部分の幅が11.300メートル、在来線部分が9.400メートルを占めています。最大支間長は86.7メートル。主橋梁部は7径間の1箱形合成桁橋で構成されており、両端にはプレストレスト・コンクリート（PC）桁を用いた側径間が接続され、橋全体の長さは639メートルに達します。
荒川橋梁の建設地周辺は住宅が密集している地域であり、列車通過時の騒音や振動をいかに抑制するかが大きな課題でした。このため、橋の構造には騒音・振動対策に効果的な鋼とコンクリートを組み合わせた合成構造が採用されました。また、線路を支える道床には、振動を吸収する弾性直結軌道式が用いられています。
さらに、この地域の地盤は軟弱で、橋に大きな変位が生じる可能性があったため、連続桁構造は避け、単純桁が採用されました。建設当時、これほど長大なPC桁の施工実績が少なかったこともあり、トラス橋か合成桁のいずれかが検討されましたが、防音壁などの設備を設置しやすいという利点から合成桁が選択されました。東北新幹線と在来線では走行する列車の重さや速度が異なるため、桁のたわみ方に差が生じる可能性があります。これを防ぐため、それぞれの桁は構造的に完全に分離されています。
橋脚は合計8基が設けられています。そのうち2基にはニューマチックケーソン工法が、残りの6基には鋼管矢板井筒工法が採用されました。橋脚の配置は、隣接する戸田橋の構造に合わせて調整されています。橋は終点（大宮方面）に向かって、下り列車に対して半径810メートルの曲線を描きながら進みます。また、橋梁全体は両岸の堤防道路の高さに合わせて、終点側へ向かうに従って1.1パーミル（1000メートル進むごとに1.1メートル高くなる）の上り勾配となっています。
建設経緯
荒川橋梁の建設は、当時の日本国有鉄道（国鉄）が発注主体となり進められました。着工に先立つ1979年（昭和54年）1月12日からは、約1ヶ月間かけて橋を架ける地点の地質調査が実施されました。正式な着工は、同年12月19日です。
工事期間中には、1980年（昭和55年）3月12日に近隣の学校から建設中止を求める仮処分の申し立てがありましたが、その後、関係者間の話し合いにより和解が成立し、工事は滞りなく進められました。
橋桁の製作は、櫻田機械工業、宮地鉄工所（現：宮地エンジニアリング）、横河橋梁製作所（現：横河ブリッジ）の各社が担当しました。工事全体の設計管理は国鉄東京第三工事局が担い、実際の架設工事は株式会社間組が施工しました。架設にあたっては、仮設の支持構造物であるベントを用いた、自走式クレーン車や台船を活用する一般的な工法が用いられました。この橋梁の建設には、総額約100億円の費用が投じられました。
橋の供用は段階的に始まりました。まず、東北新幹線の上野駅-大宮駅間の開業日である1985年（昭和60年）3月14日に新幹線部分の営業運転が開始されました。続いて、同年9月30日には埼京線が開業し、在来線部分も供用が始まりました。
その後の経緯
1987年（昭和62年）4月1日、国鉄の分割民営化に伴い、荒川橋梁は東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）に引き継がれました。
近年では、首都直下地震などへの対策として、橋の耐震性向上が図られています。2012年（平成24年）7月にJR東京耐震補強工事区が設置され、翌2013年（平成25年）1月からは橋脚へのコンクリート巻き立てなど、本格的な耐震補強工事が始まりました。この工事は東鉄工業株式会社が担当し、2015年（平成27年）5月に完了しています。
周辺環境
荒川橋梁が架かる周辺は、東京都板橋区と埼玉県戸田市の市街地となっています。荒川の流路は戸田市側に寄っているため、板橋区側の河川敷は比較的広く、公園やゴルフ場といったレクリエーション施設として整備・活用されています。具体的には、戸田公園、戸田競艇場、戸田漕艇場、荒川戸田橋緑地などが近隣に位置し、市民の憩いの場となっています。また、荒川の旧流路を利用した浮間公園や、地域の小中学校、赤羽ゴルフ倶楽部なども周辺にあります。荒川沿いにはサイクリングロードも整備されており、橋の周辺は活気のあるエリアです。
隣接する橋
荒川における荒川橋梁の前後には、上流側から順に笹目橋、戸田橋が架かっており、荒川橋梁の下流側には新荒川大橋が位置しています。
構造と設計の工夫
この橋梁の主橋梁部の長さは521.200メートル、橋全体の幅員は20.700メートルです。内訳として、新幹線部分の幅が11.300メートル、在来線部分が9.400メートルを占めています。最大支間長は86.7メートル。主橋梁部は7径間の1箱形合成桁橋で構成されており、両端にはプレストレスト・コンクリート（PC）桁を用いた側径間が接続され、橋全体の長さは639メートルに達します。
荒川橋梁の建設地周辺は住宅が密集している地域であり、列車通過時の騒音や振動をいかに抑制するかが大きな課題でした。このため、橋の構造には騒音・振動対策に効果的な鋼とコンクリートを組み合わせた合成構造が採用されました。また、線路を支える道床には、振動を吸収する弾性直結軌道式が用いられています。
さらに、この地域の地盤は軟弱で、橋に大きな変位が生じる可能性があったため、連続桁構造は避け、単純桁が採用されました。建設当時、これほど長大なPC桁の施工実績が少なかったこともあり、トラス橋か合成桁のいずれかが検討されましたが、防音壁などの設備を設置しやすいという利点から合成桁が選択されました。東北新幹線と在来線では走行する列車の重さや速度が異なるため、桁のたわみ方に差が生じる可能性があります。これを防ぐため、それぞれの桁は構造的に完全に分離されています。
橋脚は合計8基が設けられています。そのうち2基にはニューマチックケーソン工法が、残りの6基には鋼管矢板井筒工法が採用されました。橋脚の配置は、隣接する戸田橋の構造に合わせて調整されています。橋は終点（大宮方面）に向かって、下り列車に対して半径810メートルの曲線を描きながら進みます。また、橋梁全体は両岸の堤防道路の高さに合わせて、終点側へ向かうに従って1.1パーミル（1000メートル進むごとに1.1メートル高くなる）の上り勾配となっています。
建設経緯
荒川橋梁の建設は、当時の日本国有鉄道（国鉄）が発注主体となり進められました。着工に先立つ1979年（昭和54年）1月12日からは、約1ヶ月間かけて橋を架ける地点の地質調査が実施されました。正式な着工は、同年12月19日です。
工事期間中には、1980年（昭和55年）3月12日に近隣の学校から建設中止を求める仮処分の申し立てがありましたが、その後、関係者間の話し合いにより和解が成立し、工事は滞りなく進められました。
橋桁の製作は、櫻田機械工業、宮地鉄工所（現：宮地エンジニアリング）、横河橋梁製作所（現：横河ブリッジ）の各社が担当しました。工事全体の設計管理は国鉄東京第三工事局が担い、実際の架設工事は株式会社間組が施工しました。架設にあたっては、仮設の支持構造物であるベントを用いた、自走式クレーン車や台船を活用する一般的な工法が用いられました。この橋梁の建設には、総額約100億円の費用が投じられました。
橋の供用は段階的に始まりました。まず、東北新幹線の上野駅-大宮駅間の開業日である1985年（昭和60年）3月14日に新幹線部分の営業運転が開始されました。続いて、同年9月30日には埼京線が開業し、在来線部分も供用が始まりました。
その後の経緯
1987年（昭和62年）4月1日、国鉄の分割民営化に伴い、荒川橋梁は東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）に引き継がれました。
近年では、首都直下地震などへの対策として、橋の耐震性向上が図られています。2012年（平成24年）7月にJR東京耐震補強工事区が設置され、翌2013年（平成25年）1月からは橋脚へのコンクリート巻き立てなど、本格的な耐震補強工事が始まりました。この工事は東鉄工業株式会社が担当し、2015年（平成27年）5月に完了しています。
周辺環境
荒川橋梁が架かる周辺は、東京都板橋区と埼玉県戸田市の市街地となっています。荒川の流路は戸田市側に寄っているため、板橋区側の河川敷は比較的広く、公園やゴルフ場といったレクリエーション施設として整備・活用されています。具体的には、戸田公園、戸田競艇場、戸田漕艇場、荒川戸田橋緑地などが近隣に位置し、市民の憩いの場となっています。また、荒川の旧流路を利用した浮間公園や、地域の小中学校、赤羽ゴルフ倶楽部なども周辺にあります。荒川沿いにはサイクリングロードも整備されており、橋の周辺は活気のあるエリアです。
隣接する橋
荒川における荒川橋梁の前後には、上流側から順に笹目橋、戸田橋が架かっており、荒川橋梁の下流側には新荒川大橋が位置しています。
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