荻野美穂

荻野美穂

荻野美穂（おぎの みほ、1945年10月16日 - ）は、日本の歴史学者であり、特に女性史とジェンダー研究の分野で著名な研究者です。彼女は、大阪大学教授、同志社大学教授を歴任し、現在は大阪大学名誉教授の称号を持っています。

略歴

荻野美穂は中国の青島市で生まれました。1968年に神戸女学院大学文学部英文科を卒業後、1985年に奈良女子大学大学院文学研究科史学科修士課程を修了。さらに研究を進め、1987年に同大学院人間文化研究科博士課程を中退しました。2000年には、長年の研究の集大成としてお茶の水女子大学に学位論文「アメリカ合衆国の人工妊娠中絶論争 その歴史と意味についての研究」を提出し、博士（人文科学）の学位を取得しました。

研究者としてのキャリアは、京都文教大学助教授から始まりました。2001年には大阪大学文学部日本学助教授に就任し、その後、同文学研究科教授へと昇進。2009年に大阪大学を定年退任した後は、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授として教鞭を執り、2015年に退職しました。

研究内容

荻野美穂の研究は、女性史・ジェンダー研究を専門とし、特に以下のテーマに焦点を当てています。

アメリカ合衆国における人工妊娠中絶論争の歴史と意味
日本の近代における生殖をめぐる政治
ジェンダーと身体の関係性

これらのテーマに関する研究を通じて、荻野美穂は、社会における女性の地位やジェンダーの問題について深く掘り下げ、歴史的な視点から考察を加えています。

著書

荻野美穂は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究成果は広く社会に影響を与えています。主要な著書としては、以下のようなものがあります。

『生殖の政治学 - フェミニズムとバース・コントロール』（山川出版社, 1994年）
『中絶論争とアメリカ社会 - 身体をめぐる戦争』（岩波書店, 2001年）
『ジェンダー化される身体』（勁草書房, 2002年）
『「家族計画」への道 近代日本の生殖をめぐる政治』（岩波書店, 2008年）
『女のからだ フェミニズム以後』（岩波新書, 2014年）

これらの著書を通じて、荻野美穂は、フェミニズムの視点から生殖、身体、ジェンダーに関する問題を考察し、読者に新たな視点を提供しています。

編著・共編著

『資源としての身体 - Economy』（岩波書店、身体をめぐるレッスン2） 2006
『「性」の分割線 - 近・現代日本のジェンダーと身体』（青弓社） 2009
『制度としての「女」 - 性・産・家族の比較社会史』（平凡社） 1990
『男性論 - 共同研究』（人文書院） 1999
『構築主義とは何か』（勁草書房） 2001
『フェミニズムの時代を生きて』（岩波書店、岩波現代文庫） 2011

翻訳

『性の儀礼 - 近世イギリスの産の風景』（人文書院） 1989
『ノスタルジアの社会学』（世界思想社） 1990
『ジェンダーと歴史学』（平凡社） 1992
『セックスとナチズムの記憶 20世紀ドイツにおける性の政治化』（岩波書店） 2012
* 『女らしさの神話（上下）』（岩波文庫） 2024

外部リンク

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