菅原輔正

菅原輔正（すがわら の すけまさ）

菅原輔正は、平安時代中期に活躍した公卿であり、学者としても名を残しました。右中弁・菅原淳茂の孫、勘解由長官・菅原在躬の長男として生まれ、菅原氏の家系を継承しました。最終官位は前参議正三位式部大輔で、その生涯は朝廷での重要な役職を歴任し、学識と政治手腕を発揮したものでした。

生涯と経歴

村上天皇の時代、天暦4年（950年）に文章得業生となった菅原輔正は、その才能を早くから示しました。正暦9年（955年）には刑部少丞に任官し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。その後、式部丞を経て、天徳4年（960年）には従五位下・民部少輔に叙任され、順調に昇進を重ねました。

弁官としての活躍は特に目覚ましく、式部少輔、左衛門権佐を経て、康保3年（966年）には従五位上・権右少弁に任ぜられました。その後も、右少弁、左少弁、正五位下、右中弁、従四位下、権左中弁、従四位上、左中弁と、約15年にわたり弁官を歴任し、その間には春宮・師貞親王の東宮学士や文章博士も兼帯しました。村上朝末から円融朝にかけて、その卓越した能力を朝廷で発揮したのです。

天元4年（981年）には大宰大弐に任じられ、一旦弁官の職を離れますが、翌年には式部権大輔として京官に復帰。一条天皇の時代には、正暦2年（991年）に式部大輔、翌年には従三位に叙せられ、公卿の仲間入りを果たしました。長徳2年（996年）には72歳にして参議に任ぜられ、菅原道真以来約100年ぶりに菅原氏から議政官が誕生しました。長保5年（1003年）には正三位に昇叙しましたが、寛弘5年（1008年）に参議を辞し、式部大輔のみを帯びることになりました。

寛弘6年（1010年）12月24日、菅原輔正は85歳でその生涯を閉じました。その死後、北野神社の摂社に祀られ、寿永3年（1184年）には正二位を追贈されました。菅原輔正の死後、菅原氏から公卿が輩出されることは200年以上途絶えることになります。

官歴

菅原輔正の官歴は、以下の通りです（注記のないものは『公卿補任』による）。

天暦4年（950年）：文章得業生
天暦5年（951年）1月30日：播磨権少掾
正暦8年（954年）10月27日：課試
正暦9年（955年）正月：判。閏9月：刑部少丞
正暦11年（957年）1月27日：式部少丞
天徳2年（958年）閏7月22日：式部大丞（弘親卒替）
天徳4年（960年）1月7日：従五位下。2月19日：但馬権守。4月22日：民部少輔
応和元年（961年）10月13日：式部少輔
応和3年（963年）1月28日：左衛門権佐
応和4年（964年）4月1日：次侍従
康保2年（965年）1月17日：止次侍従
康保3年（966年）1月7日：従五位上。1月27日：権右少弁
康保4年（967年）9月1日：東宮昇殿
康保5年（968年）2月5日：右少弁。12月18日：大学頭
安和2年（969年）6月23日：左少弁。8月13日：東宮学士。9月2日：昇殿
天禄元年（970年）8月5日：文章博士。11月20日：正五位下
天禄2年（971年）1月29日：越前介。12月15日：右中弁
天禄3年（972年）1月7日：従四位下。閏2月29日：美作権守
天禄4年（973年）7月22日：権左中弁
貞元2年（977年）8月2日：従四位上。12月10日：周防権守
貞元3年（978年）10月17日：左中弁
天元2年（979年）10月17日：昇殿
天元4年（981年）1月29日：大宰大弐。2月17日：昇殿
天元5年（982年）1月7日：正四位下。3月5日：式部権大輔
永観2年（984年）8月27日：以本宮侍臣昇殿。9月14日：聴雑袍
寛和2年（986年）6月22日：止昇殿
正暦2年（991年）4月26日：丹波権介。5月2日：昇殿。5月21日：式部大輔
正暦3年（992年）2月15日：従三位、式部大輔如元
正暦4年（993年）1月13日：兼越前権守
長徳2年（996年）4月24日：参議、式部大輔越前権守如元
長徳3年（997年）：兼大和権守
長保元年（999年）閏3月5日：兼太皇太后宮権大夫。12月7日：止大夫
長保2年（1000年）1月17日：兼近江守
長保5年（1003年）1月30日：兼備中権守。11月5日：正三位
寛弘5年（1008年）1月：兼三河守。2月7日：止参議、式部大輔如元
寛弘6年（1009年）12月24日：薨去（前参議正三位式部大輔）
寿永3年（1184年）3月：贈正二位

系譜

菅原輔正は、以下の系譜を持っています。

父：菅原在躬
母：菅原景行の娘
生母不詳の子女
男子：菅原為理
男子：菅原為忠
男子：菅原為紀
男子：菅原修成
男子：菅原忠貞
男子：菅原良正
女子：菅原芳子 - 藤原頼任室、後一条天皇乳母

菅原輔正は、その長い官歴の中で、多くの役職を歴任し、平安時代中期の朝廷において重要な役割を果たした人物でした。彼の生涯は、学問と政治の両面での才能を示し、後世に大きな影響を与えました。

参考文献

『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年

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