葛原親王

葛原親王：平安時代の重臣、その生涯と功績

葛原親王は、桓武天皇を父とする皇族です。一品・大宰帥という高い官位に上り詰め、桓武平氏の祖として知られています。幼少期より俊英として知られ、史書を深く読み込み、歴史の教訓を自身の生き方に生かしました。その性格は恭しく慎み深く、決して傲慢になることはありませんでした。

輝かしいキャリア：

延暦17年（798年）、異母兄弟である後の淳和天皇と共に元服。その後、順調に昇進を重ね、延暦22年（803年）には治部卿に任じられます。延暦25年（806年）、平城天皇の即位後まもなく大蔵卿に、その後弾正尹を経て大同4年（809年）には三品に昇進。弘仁元年（810年）には式部卿に就任し、この職を10年以上務めました。弘仁3年（812年）には大宰帥を兼任、弘仁7年（816年）には二品に叙せられます。

弘仁14年（823年）、淳和天皇の即位に伴い一旦弾正尹に転じますが、天長7年（830年）には再び式部卿に復帰。翌天長8年（831年）には、一品に叙せられる栄誉に輝きます。この後も約20年にわたって式部卿を務め、承和2年（835年）には甲斐国巨麻郡に広大な土地を与えられています。嘉祥3年（850年）、文徳天皇の即位後には再び大宰帥に任じられました。

特に式部卿としての功績は顕著で、『六国史』には「久在式部　諳職務　凡在旧典　莫不達練　挙朝重之」と記され、その職務への熟達と朝廷における高い評価が伝えられています。これは、33年もの長きに渡り式部卿の職にあったことを示すものであり、彼の能力と経験の高さを物語っています。

質素な最期：

仁寿3年（853年）6月4日、68歳で亡くなりました。遺言により、葬儀は質素なものだったと伝えられています。その墓所と邸宅跡は、現在も京都府乙訓郡大山崎町に伝えられています。

家族と子孫：

父は桓武天皇、母は多治比真宗です。妻については諸説ありますが、確かな記録は残っていません。少なくとも、高棟王、善棟王など複数の男子をもうけました。高棟王の子孫は堂上家5家を輩出し、また、高望王の子孫は武家平氏につながるとも言われています。

まとめ：

葛原親王は、優れた知性と高い品格を備えた皇族であり、朝廷において重要な役割を担いました。長きにわたる官職歴、特に式部卿としての功績は、平安時代の政治史において重要な位置を占めています。彼の生涯は、平安時代の政治や社会を知る上で貴重な知見を与えてくれます。その人物像は、歴史書や伝承を通して、後世にまで深く刻まれています。

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