薄井信明

薄井信明について

薄井信明（うすい のぶあき、1941年1月1日 - ）は、日本の大蔵官僚です。第43代大蔵事務次官、第31代国税庁長官を歴任しました。

人物

東京府（現在の東京都）で生まれ、都立戸山高校から東京大学に進学しました。東京大学経済学部経済学科を卒業し、大学時代には小宮隆太郎教授の下で国際金融などを学びました。大学在学中に国家公務員上級甲種試験（経済職）に上位の成績で合格し、1965年に大蔵省に入省しました。同期には、鏡味徳房、竹島一彦、榊原英資、浜田卓二郎などがいます。

大蔵省では、主に税制畑を歩み、竹下内閣時代の1986年には主税局税制第二課長として消費税導入に尽力しました。その功績から、同期の竹島一彦と並んで次官レースの先頭を走り、国税庁長官を経て、大蔵事務次官に就任しました。当時、斎藤次郎氏ら「主計人脈」の勢いが低下していた時期でもありました。東大法学部以外の出身で大蔵事務次官に就任したのは、池田勇人氏以来であり、経済学部出身としては山際正道氏以来です。

当初は同期で主計畑だった竹島一彦氏の起用案もありましたが、当時の事務次官であった田波耕治氏が「2代続けてイレギュラーな人事は避けるべき」と判断し、主税畑で国税庁長官を務めていた薄井氏が昇格することとなりました。

退官後は、政策研究大学院大学教授、2003年には国民生活金融公庫総裁、2008年から2011年まで株式会社日本総合研究所理事長を歴任しました。2021年には、瑞宝重光章を受章しています。

キャリア

薄井信明氏は、1965年に大蔵省に入省後、以下の役職を歴任しました。

1965年：旧大蔵省入省（大臣官房調査課）
1966年9月：大阪国税局調査部
1967年4月：大臣官房調査企画課
1968年4月：主税局国際租税課調査主任
1970年7月：伊勢税務署長
1971年7月：目黒税務署長
1972年7月：国税庁長官官房人事課課長補佐
1973年7月：主計局法規課課長補佐（第六）
1975年7月：主計局主計官補佐（総理府第一係主査）
1976年7月：主税局税制第一課課長補佐（所得税）
1979年7月：主税局税制第二課課長補佐（総括・酒税）
1980年6月：大臣官房企画官兼主税局総務課
1981年7月：大臣官房文書課広報室長
1982年：三重県総務部長
1983年：大蔵省主税局調査課長
1986年6月：主税局税制第三課長
1986年7月：主税局税制第二課長
1989年6月：主税局総務課長
1990年6月：名古屋国税局長
1991年6月：大蔵省大臣官房審議官
1995年5月：主税局長
1998年1月：国税庁長官
1999年7月：大蔵事務次官
2000年6月：退官
2003年1月：国民生活金融公庫総裁
2008年12月：株式会社日本総合研究所理事長


特に、1986年7月に主税局税制第二課長に就任した際には、消費税導入構想を練り、その後の税制改革に大きく貢献しました。また、1997年4月には、小川是次官の下で消費税を3%から5%に引き上げる構想を決定しました。

薄井氏は、そのキャリアを通じて税制に深く関わり、日本の財政政策に大きな影響を与えた人物と言えるでしょう。

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