薬師 (鹿児島市)

薬師（やくし） - 鹿児島市の町丁

薬師は鹿児島県鹿児島市の町丁で、旧薩摩国鹿児島郡に由来する名前を持ちます。郵便番号は890-0042で、2020年の調査によると人口は3,211人、世帯数は1,657世帯。薬師一丁目と薬師二丁目が存在し、両区域で住居表示が行われています。

地理的特徴

薬師は鹿児島市の中央部分に位置し、甲突川の下流域にあたります。北側には城西や原良、南側には西田や常盤、東側には鷹師や新照院町、西側には常盤町と接しています。この地域の北端には鹿児島高等学校があり、西には鹿児島県立鶴丸高等学校、さらに西端には鹿児島市立西田小学校が位置しています。

町名の由来

町名の「薬師」は、歴史的にこの地域に薬草苑が存在し、その苑内に薬師様が祀られていたことに由来しています。この情報は「かごしま市史こばなし」にも記載されています。

歴史的背景

薬師の歴史を遡ると、江戸時代には薩摩国鹿児島郡鹿児島城下の一部、薬師馬場町と呼ばれていました。この地域は御物方や兵具方の下級武士の士屋敷が並ぶ武家町で、上級武士の屋敷も存在しました。近代に入ると、明治時代初期には鹿児島府の資料にも薬師馬場町の名前が見られ、士族が多く住んでいたことが分かります。

1889年に鹿児島が市制を施行した際、薬師馬場町は鹿児島市の町である「薬師馬場町」として認知され、その後、1899年には薬師町に改名されました。また、1913年には鹿児島県立第一鹿児島中学校（後の鹿児島県立鶴丸高等学校）が移転し、その後も教育機関がこの地域に設立されました。

第二次世界大戦中の1945年には、薬師町周辺でアメリカ軍による空襲があり、いくつかの学校が被害を受けるなどの影響もありました。

1976年には町域が再編成され、薬師一丁目と薬師二丁目に分かれ、その際に薬師町は廃止されました。その後も地域の名称や境界は変化し続け、1990年代以降、一部の区域が他の町に編入されるなどの動きもありました。

文化財と教育機関

薬師地域には市指定の文化財として「西田の田の神」という有形民俗文化財が存在します。教育機関としては、鹿児島県立鶴丸高等学校や鹿児島市立西田小学校、さらには私立の幼稚園もあり、教育環境が整っています。

著名な出身人物

この地域からは、陸軍軍人で北海道庁長官を務めた永山武四郎氏や、京セラと第二電電を創業した稲盛和夫氏など、歴史的な功績を残した著名な人物が出ています。

薬師は歴史、自然、教育が交差する地域であり、現在でも住環境が整備され、多くの人々が生活する場となっています。

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