藤原光頼

藤原光頼（ふじわら の みつより）は、平安時代後期に活躍した公卿・歌人です。葉室大納言入道、または桂大納言とも称されました。藤原北家勧修寺流葉室家の出身で、権中納言・藤原顕頼の長男として生まれ、葉室家三代目を継承しました。官位は正二位・権大納言にまで昇進しています。

光頼は、久寿3年（1156年）に参議に任じられ、保元3年（1158年）には権中納言、永暦元年（1160年）には権大納言に任命されるなど、順調に昇進を重ねました。能吏としての評価が高く、何事にも公正に対応したため、朝野からの人望も厚かったとされています。『愚管抄』では、「末代に抜きん出て人に褒められた」人物として、その人となりが称賛されています。

平治元年（1159年）に勃発した平治の乱においては、甥である藤原信頼に与同して軍事行動を起こした弟の藤原惟方を厳しく叱責し、結果的に惟方が信頼から離反する遠因を作ったと『平治物語』に記されています。同書には、自信に満ちた信頼に対し、光頼が臆することなく正論を述べる場面が描かれており、両者の対照的な姿が印象的に表現されています。

晩年には出家し、桂の里に隠棲しました。和歌にも優れた才能を発揮し、家集として『桂大納言集』を残しています。また、『新勅撰和歌集』をはじめとする勅撰和歌集にも8首の歌が収録されており、歌人としての才能も高く評価されています。

系譜

父：藤原顕頼
母：藤原忠子（藤原俊忠の娘）
同母弟：藤原惟方
同母弟：藤原成頼
妻：藤原朝隆の娘
長男：藤原光方
次男：藤原光定
妻：藤原親隆の娘
三男：葉室光雅（1149-1200）
四男：葉室宗頼（1154-1203）
女子：藤原宗家室
猶子：藤原成頼（同母弟）

光頼の子の代から、葉室家は光雅の流れと宗頼の流れに分かれましたが、後世まで家名を存続させたのは宗頼の流れです。

関連作品

テレビドラマ
『新・平家物語』（1972年、NHK大河ドラマ、演：鈴木瑞穂）

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