藤原顕頼

藤原顕頼（ふじわら の あきより）

藤原顕頼は、平安時代後期に活躍した公卿で、藤原北家勧修寺流の出身です。父は権中納言の藤原顕隆で、母は藤原季綱の娘です。顕頼は、その生涯を通じて朝廷で重要な役割を果たしました。

実務官僚としての活躍

顕頼は、天仁元年（1108年）に従五位下に叙せられて以降、出雲守、三河守、丹後守、丹波守などの受領を歴任しました。これらの地方官としての経験を通じて、彼は実務能力を磨きました。また、蔵人や左衛門権佐、右少弁などの役職も兼任し、官僚としてのキャリアを着実に積み重ねました。特に、保安3年（1122年）には、蔵人、左衛門権佐、右少弁の三つの役職を同時に兼任し、その多才ぶりを示しました。

鳥羽上皇の側近として

顕頼は、鳥羽上皇の腹心として知られ、その信任は非常に厚かったとされています。『本朝新修往生伝』には、「内外の権力を掌握し、当代随一の人物であった」と評されています。議政官を辞した後も、重要な議事に参加し、その意見は尊重されました。久安3年（1147年）の祇園闘乱事件では、延暦寺が平忠盛・清盛親子の配流を求めたのに対し、顕頼は藤原頼長の意見を退け、忠盛・清盛を擁護しました。この事件からも、顕頼が単なる官僚ではなく、政治的な判断力にも優れた人物であったことが伺えます。

摂関家との関係

一方で、顕頼は摂関家との関係も良好に保ち、院と摂関家の対立を調整する役割も担っていました。娘の一人が藤原頼長の子である師長の妻となるなど、摂関家とのつながりも深く、両者の関係がこじれないように腐心していました。

その後の影響

顕頼は、久安4年（1148年）に55歳で亡くなりました。その後、信西が鳥羽法皇の側近として台頭し、摂関家と院近臣の対立が激化、保元の乱へと繋がっていくことになります。顕頼の死は、その後の政治情勢に大きな影響を与えたと考えられます。

官歴

顕頼の官歴は以下の通りです。

長治2年（1105年）：大膳権亮
嘉承2年（1107年）：蔵人
天仁元年（1108年）：従五位下、出雲守
永久2年（1114年）：三河守
永久3年（1115年）：昇殿
永久4年（1116年）：勘解由次官、三河守（如元）
永久5年（1117年）：従五位上
元永元年（1118年）：丹後守、中宮権大進（兼任）
元永2年（1119年）：右衛門権佐、検非違使（兼帯）
保安元年（1120年）：蔵人、右衛門権佐（如元）
保安2年（1121年）：左衛門権佐
保安3年（1122年）：正五位下、防鴨河使、右少弁
保安4年（1123年）：新帝（崇徳天皇）蔵人、丹波守、右少弁（如元）、中宮権大進（如元）、権右中弁
天治元年（1124年）：従四位下、中宮権大進（辞任）
天治2年（1125年）：従四位上、正四位下
大治5年（1130年）：右中弁、蔵人頭
天承元年（1131年）：参議
長承元年（1132年）：右兵衛督、播磨権守（兼任）
長承2年（1133年）：検非違使別当
長承3年（1134年）：従三位、権中納言、右兵衛督（如元）、検非違使別当（如元）
保延元年（1135年）：検非違使別当（辞職）
保延2年（1136年）：皇后宮大夫
保延5年（1139年）：正三位、大宰権帥（兼任）、皇后宮大夫（辞任）、従二位
永治元年（1141年）：権中納言（辞任）、大宰権帥（辞任）、民部卿
康治2年（1143年）：正二位
久安4年（1148年）：出家

系譜

父：藤原顕隆
母：藤原悦子（藤原季綱の娘）
妻：藤原忠子（または俊子）
男子：藤原光頼、藤原惟方、藤原成頼、説頼、円仙、顕恵、雅宝
女子：藤原祐子、藤原頼子、藤原季成室、藤原公子、藤原家明室、藤原信頼室、藤原朝隆室、藤原顕長室、藤原俊憲室、藤原重方室
養子：藤原顕広（俊成）

脚注

※日付は全て旧暦で記載しています。

関連項目

* 葉室家

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