藤原基忠

藤原基忠（ふじわら の もとただ）は、平安時代後期の公卿であり、藤原北家出身で、大納言・藤原忠家を父に持ちます。最終官位は従二位・権中納言。

経歴

後冷泉朝末の治暦2年（1066年）に従五位下に叙爵し、官吏としての道を歩み始めます。治暦4年（1068年）には侍従、次いで左近衛少将に任官。

延久元年（1069年）に従五位上、延久4年（1072年）には正五位下、さらに従四位下へと昇進を重ね、承保元年（1074年）には従四位上、承保2年（1075年）には正四位下・左近衛中将に叙任されるなど、後三条朝から白河朝にかけて近衛次将を務めながら順調に昇進します。承暦4年（1080年）には蔵人頭（頭中将）に任ぜられ、右近衛中将を経て、永保2年（1082年）には参議に任ぜられて公卿に列しました。

議政官を務める傍ら、引き続き近衛中将を兼任し、永保4年（1084年）には従三位、寛治2年（1088年）には正三位へと昇進。寛治5年（1091年）には権中納言に昇りますが、兼官は全て解かれました。寛治7年（1093年）には従二位に至り、嘉保2年（1095年）には左兵衛督、永長2年（1097年）には右衛門督を兼任しています。

承徳2年（1098年）11月17日に薨去。享年43。最終官位は権中納言従二位兼右衛門督。この日、関白・藤原師通の春日詣が予定されており、基忠も共に参上する予定でしたが、その薨去によって取りやめになったと伝えられています。

人物

嘉保2年（1095年）の「永長の大田楽」では、権中納言という高位にありながら、「九尺の高扇」を掲げて踊り狂ったという逸話が残されています（大江匡房による）。

官歴

治暦2年（1066年）12月22日：従五位下（上東門院臨時御給）
治暦4年（1068年）3月4日：侍従。12月29日：左近衛少将
延久元年（1069年）11月：従五位上
延久2年（1070年）正月29日：兼備前権介
延久4年（1072年）正月5日：正五位下（少将）。2月1日：従四位下（父卿譲、行幸行事賞）
承保元年（1074年）11月16日：兼丹波介。11月19日：従四位上（主基国司）
承保2年（1075年）正月28日：正四位下（前上東門院御給）。6月13日：左近衛中将
承暦3年（1079年）正月27日：兼美作介
承暦4年（1080年）8月14日：蔵人頭（頭中将）
承暦5年（1081年）正月26日：右近衛中将
永保2年（1082年）正月21日：参議、右近衛中将如元
永保3年（1083年）2月1日：兼近江権守
永保4年（1084年）正月22日：従三位（自関白堀川第遷六條賞）
寛治2年（1088年）正月19日：正三位（院別当、行幸賞）。正月25日：兼讃岐権守
寛治5年（1091年）正月：権中納言
寛治7年（1093年）正月11日：従二位（春日行幸行事賞）
嘉保2年（1095年）12月：兼左兵衛督
永長2年（1097年）正月：右衛門督
承徳2年（1098年）11月17日：薨去（権中納言従二位兼右衛門督）

系譜

父：藤原忠家
母：藤原経輔の長女
妻：藤原能季の娘
男子：忠覚
生母不明の子女
女子：源顕康室
養子女
男子：藤原信忠 - 実は源信宗の子

参考文献

『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年
* 『尊卑分脈 第一篇』吉川弘文館、1987年

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