藤原惟規

藤原惟規について

藤原惟規（ふじわら の のぶのり/これのぶ）は、平安時代中期に活躍した貴族であり、歌人でもあります。彼は藤原北家良門流に属し、越後守である藤原為時の子息として生まれました。また、彼は著名な歌人である紫式部の兄または弟であるとも考えられています。

経歴

惟規は一条朝において、文章生を経て、長保6年（1004年）から寛弘2年（1005年）にかけて少内記を務めました。さらに、彼は兵部丞や式部丞としてもその地位を歴任し、六位蔵人としても活動しました。その後、彼は寛弘8年（1011年）に従五位下に叙され、その名声が高まりました。惟規の叙爵後は散位となり、父である為時に従って越後国に赴いたものの、現地で死去しました。

彼は勅撰歌人としても知られ、『後拾遺和歌集』には彼の作品が3首採録されており、その他の和歌集にも合計10首の作品が収められています。また、個人の歌集として『藤原惟規集』も存在します。

逸話

惟規に関する逸話は数多く存在します。特に、彼の姉妹である紫式部との関係は興味深いもので、幼少期に為時のもとで漢籍を学ぶ際、紫式部は彼女が暗誦できたのに対し、惟規はできなかったため、父は「男ではないことが残念である」と感じたという話があります。

また、木の丸殿に関する逸話も注目に値します。彼は賀茂斎院選子内親王に会うために、夜ごと局へ忍び込んでいましたが、ある晩に見つかってしまい、相手が歌人であるために門を開けてもらうというストーリーが展開します。この出来事にちなんで、惟規は以下の和歌を詠みました。

>「神垣は木の丸殿にあらねども名のりをせねば人咎めけり」

この歌は、天智天皇が過去に名乗ることを避けていた故事を踏まえたもので、選子内親王も感心したと言います。

最期の時

惟規の最後の時も特筆すべき逸話があります。彼の父が越後に赴任した際、惟規は蔵人であったため同行できず、後に父の元へ向かう途中に病に倒れ、危篤状態に陥りました。そこで父は、息子が仏教の教えを受けられるよう僧を呼び寄せ、来世のことについて話をしました。惟規はこの後に、辞世の歌をしたためました。

>「みやこには恋しき人のあまたあればなほこのたびはいかむとぞ思ふ」

彼はこの歌を書く際に、「ふ」の文字を最後に書ききれずに息を引き取ったため、父の為時は彼の意図を汲み取ってその文字を補足しました。この歌は後に『後拾遺集』に収められ、多くの人々に読まれることとなります。

官歴

彼の官歴については、時期が特定できない部分もありますが、彼は文章生から始まり、少内記、六位蔵人、兵部丞、式部丞を経て、最終的に従五位下に叙されています。

系譜

惟規の系譜については、父の藤原為時、母は藤原為信の娘であり、妻は藤原貞仲の娘です。また、彼には藤原貞職という男子がいます。さらには、平清盛の側近として知られる藤原邦綱が彼の玄孫にあたります。

関連作品

惟規の存在は、映画『千年の恋 ひかる源氏物語』やNHK大河ドラマ『光る君へ』などの作品にも影響を与えており、紫式部の弟という設定が用いられています。彼の短くも波乱に満ちた人生は、多くの興味を引き続けています。

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