藤原扶幹

藤原扶幹の生涯と業績

藤原扶幹（ふじわら の すけもと）は、平安時代前期から中期にかけて活躍した公卿で、藤原北家の一員として重要な役割を果たしました。彼は右大臣、藤原内麻呂の玄孫であり、駿河守を務めた藤原村椙の次男に生まれました。扶幹は官位として従三位と大納言を歴任し、長きにわたって政界において影響力を持ちました。

経歴

扶幹のキャリアは、周防掾、近江権少掾、中務少丞を経る形でスタートしました。仁和3年（887年）には従五位下に叙爵され、宇多朝の頃には兵部少輔、民部少輔を経て、寛平7年（895年）には信濃守に任命され地方官に移りました。この間、昌泰4年（901年）には従五位上に昇叙され、醍醐朝の前半も常陸介や上野介として地方官を務めました。

扶幹は藤原忠平の側近としても知られ、延喜14年（914年）に忠平が右大臣に昇進すると、彼も翌年に正五位下・権右中弁という官職に任命され、再び京官としての地位を得ました。続く数年間、右中弁、従四位下、左中弁と順調に昇進し、延喜23年（923年）には60歳で参議に就任し、公卿の仲間入りを果たしました。

さらに、同年に忠平の妹である藤原穏子が中宮に冊立されると、扶幹も中宮大夫に任じられ、議政官として大宰大弐と左大弁を兼ねる立場となりました。

朱雀朝においても扶幹は順調に昇進を重ね、承平2年（932年）には正四位上、承平3年（933年）には従三位・中納言、そして承平7年（937年）には大納言にまで上り詰めました。彼は天慶元年（938年）に辞職を請い、同年7月10日に亡くなるまでの間、致仕大納言従三位という最終官位を持っていました。この間、延長8年（931年）から天慶元年（938年）にかけては源氏長者として淳和奨学両院別当を務めていました。

人物と功績

扶幹は『二中歴』に名臣の一人として記載されるなど、その政治的手腕が評価されています。また、勅撰歌人としても活躍しており、彼の和歌が『後撰和歌集』に1首収められています。彼の公的な功績は、数々の官位の取得だけでなく、藤原家の政治的な影響力を高め、中宮の大夫として政界においても重要な位置を占めることに寄与しました。

系譜

藤原扶幹の家系については、父が藤原村椙、母は榎井島長の娘であり、妻も榎井島丸の娘です。扶幹には男子として藤原合間があり、他にも生母不詳の子女と女子として藤原元名室、男子の證覚がいます。

扶幹の生涯は、平安時代における藤原家の力を象徴するものであり、その政治的活動と文化的貢献により、その名は後世に語り継がれています。

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