藤原永手

藤原永手について

藤原永手（ふじわら の ながて）は、奈良時代に活躍した公卿で、藤原北家の一員として広く知られています。彼は藤原房前の次男として生まれ、長兄の早逝により実質的に家の当主となりました。生年は和銅7年（714年）で、長い公務生活を経て最終的には左大臣、さらには贈太政大臣にまで昇進しました。

経歴の概要

永手は、聖武天皇の治世において政治的に波乱の多い時期を経験しました。初期には従六位上から昇進し、的確な政治的立場を求めて努力しましたが、聖武朝では彼の昇進はあまり恵まれず、同母弟・八束と比較してもその差は歴然でした。これは、当時の権力者である橘諸兄との関係が影響していると考えられています。

しかし、749年に起こった叙位の際、永手は急に評価され、従五位下から従四位下への飛躍的な昇進を果たしました。この背景には、兄弟間の地位の平衡、さらには新興権力である光明皇太后と藤原仲麻呂の動きがあったとも言われています。特に、仲麻呂が大仏建立事業を推進し、永手を支持した理由は、北家の影響力を縮小させるための彼の策略の一環とも捉えられています。

藤原仲麻呂との関係

孝謙朝に入ると、永手は重要な役割を果たすようになりました。757年には中納言に任ぜられ、仲麻呂政権のもとで特に地位を確保しました。しかし、彼は徐々に仲麻呂から距離を置く行動をとり、特に758年以降は仲麻呂の派閥に対する反発を見せました。この対立は、道鏡政権下で一層鮮明になり、永手は朝廷の中で重要なリーダーとなる準備を進めていきます。

道鏡政権の首班として

道鏡政権の成立後、永手は太政官の首班に就任し、政治的なリーダーシップを発揮しました。彼は道鏡の一派の強化に対抗するために、兄弟の真楯と協力関係を築くことを選び、朝廷内でのバランスを取ろうとしました。称徳天皇に対しても、永手は献身的に仕え、すぐに昇進を果たしましたが、彼の地位が強化される一方で、朝廷内の権力闘争は激化していきます。

光仁朝とその後

称徳天皇の崩御後、永手は皇嗣問題に関与し、光仁天皇の擁立派に与しました。670年ごろ、彼は正一位の位を手に入れ、さらに太政大臣に任ぜられましたが、その後すぐに病に倒れました。彼は771年に逝去し、その生涯を経て贈られた太政大臣の位は彼の功績を称えるものでした。

まとめ

藤原永手は、奈良時代の重要な政治家として多くの波乱を経て地位を確立した人物であり、彼の業績は現代に至ってもなお評価されています。彼の温厚さと平衡感覚は、統治者として大きな資質がありましたが、一方で機略に乏しいとの評価もありました。彼の生涯にまつわる逸話としては、法華寺の幡を倒したりする事件もあり、死後には謀反の際に地獄へ堕ちるとの説も伝わっています。永手は、藤原氏の中でも特に際だった存在であり、その功績は後世に語り継がれることでしょう。

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