藤原為隆

藤原為隆（ふじわら の ためたか）

藤原為隆は、平安時代後期の公卿であり、藤原北家勧修寺流の家系に生まれました。父は参議を務めた藤原為房です。為隆は、その生涯において数々の官職を歴任し、最終的には従三位・参議にまで昇進しました。

生涯

為隆は、応徳3年（1086年）に白河天皇の六位蔵人として官界に入りました。翌年には従五位下・越前権守に叙任され、その後も甲斐守などを歴任しました。寛治6年（1092年）には従五位上に昇叙し、寛治8年（1094年）には中宮・篤子内親王の中宮権大進として京官に復帰しました。承徳3年（1099年）には堀河天皇の五位蔵人に任ぜられ、その後も右少弁、権右中弁、右中弁、左中弁と弁官を歴任し、順調に昇進を重ねました。天永3年（1112年）には、邸宅が火災により焼失するという災難にも見舞われました。

保安3年（1122年）には蔵人頭に補任され、同年12月には参議兼右大弁に昇任して公卿の仲間入りを果たしました。議政官としては、左右大弁や勘解由長官を兼帯しました。大治3年（1128年）には従三位に昇りましたが、権中納言への昇進は叶いませんでした。その背景には、上﨟参議である源師時の反対や、白河法皇が臣下の後見を受けている者の昇進をためらったという逸話が残っています。

大治5年（1130年）9月には病に倒れ、数日間病床に伏せた後、官職を辞任し出家しました。その翌日には薨去し、享年61歳でした。臨終の様子は「安住正念」と評されました。

人物

『後拾遺往生伝』によれば、為隆は毎回朝議に出席していたとされ、その勤勉さがうかがえます。また、その人物像は「資性倜儻（才気があり優れている）」、「才器軼人（才器で優れている）」と評され、その才能が高く評価されていたことがわかります。さらに、「職事三代、可謂独歩（職事三代独歩と謂うべし）」とも評され、三代にわたって職務を遂行したことも特筆されます。

官歴

為隆の詳しい官歴は以下の通りです。

応徳3年（1086年）11月21日：六位蔵人
応徳4年（1087年）正月5日：従五位下、3月28日：越前権守
寛治2年（1088年）正月25日：甲斐守
寛治6年（1092年）正月19日：従五位上（北圓堂供養行幸賞）
寛治8年（1094年）6月13日：中宮権大進（中宮・篤子内親王）
承徳元年（1097年）12月8日：正五位下（陽明門院去嘉保元年御給）
承徳3年（1099年）正月18日：五位蔵人
康和6年（1104年）正月28日：木工頭
長治2年（1105年）3月16日：右少弁、権大進如元
嘉承元年（1106年）6月22日：中宮大進、権右中弁、6月28日：勧学院別当
天仁2年（1109年）正月6日：従四位下、率分勾当、正月22日：右中弁、大進如元
天永2年（1111年）正月23日：備中介
天永4年（1113年）正月5日：従四位上（弁労）、12月：正四位下（行幸賞）
永久3年（1115年）8月13日：左中弁
元永2年（1119年）正月18日：遠江守、造東寺長官
保安2年（1121年）12月15日：辞遠江守
保安3年（1122年）正月23日：蔵人頭、9月20日：修理左宮城使、12月17日：参議（貫首（蔵人頭）一年労）、12月21日：右大弁
保安4年（1123年）正月22日：勘解由長官、讃岐権守、4月：左大弁
天治2年（1125年）正月19日：周防権守（明後年又見）
大治3年（1128年）4月28日：従三位（行幸春日行事賞）
大治5年（1130年）9月7日：辞職、9月8日：出家、薨去

系譜

父：藤原為房
母：源頼国の娘
妻：藤原有佐の娘
男子：藤原憲方（1119-1160）
男子：藤原光房（1109-1154）
妻：源基綱の娘
男子：藤原憲隆
妻：源基俊の娘
男子：藤原憲光
妻：源基清の娘
男子：藤原為国
妻：不詳
男子：覚隆
女子：源顕雅室
三女：平実親室（1094-1120）
女子：藤原宗能室
女子：藤原俊経室
女子：藤原親隆室
女子：源俊隆室

参考文献

竹鼻績『今鏡 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、1984年
『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年
* 『尊卑分脈 第三篇』吉川弘文館、1987年

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