藤原能実

藤原能実（ふじわら の よしざね）は、平安時代後期に活躍した公卿です。摂政関白太政大臣という要職を務めた藤原師実の四男として生まれ、藤原北家という名門の血を引いています。最終的な官位は正二位・大納言。

経歴

能実は、永保2年（1082年）に元服し、従五位上に叙せられたことからその官僚としてのキャリアをスタートさせました。同年に侍従・左近衛権少将に任官し、翌年には正五位下・右近衛権中将に昇進。4月には左権中将に転じています。応徳2年（1085年）には従四位下に叙されました。

応徳3年12月（1087年1月）には、従四位上・蔵人頭に叙任。寛治元年（1087年）には正四位下・備中権守に叙任され、11月には従三位に昇叙しました。寛治6年（1092年）には周防権守に任ぜられ、翌寛治7年（1093年）には正三位・中宮権大夫となっています。嘉保3年（1096年）には参議に任ぜられ、永長2年（1097年）には左兵衛督、丹波権守も兼任しました。康和元年12月（1100年1月）には権中納言に任ぜられ、同年に従二位に叙されています。

康和4年（1102年）には正二位に昇叙。天仁元年（1108年）には右兵衛督に転じました。天永元年（1110年）には、恂子内親王の長奉送使を務めています。永久3年（1115年）には中納言、保安3年12月（1123年1月）には権大納言、そして大納言へと昇進しました。

皇后宮大夫を務めた後、長承元年（1132年）8月に出家し、その翌月、この世を去りました。享年63歳でした。

官歴

永保2年（1082年）正月：元服、従五位上　21日：侍従　2月28日：左近衛権少将
永保3年（1083年）正月：正五位下　2月：右近衛権中将、美作介　4月：左近衛権中将
応徳2年（1085年）正月：従四位下
応徳3年12月8日（1087年1月）：蔵人頭、従四位上
寛治元年（1087年）5月：正四位下　11月10日：備中権守　11月22日：従三位　12月13日（1088年1月）：侍従
寛治6年（1092年）正月：周防権守
寛治7年（1093年）正月3日：正三位　2月21日：中宮権大夫
嘉保3年（1096年）正月：参議
永長2年（1097年）正月：左兵衛督、丹波権守
康和元年12月（1100年1月）：権中納言
康和2年（1100年）正月7日：従二位
康和4年（1102年）3月20日：正二位
長治元年（1104年）11月：使別當
天仁元年（1108年）11月14日：右衛門督
天永元年（1110年）：恂子内親王長奉送使
天永2年（1111年）正月23日：左衛門督
永久2年（1114年）10月1日：止大夫
永久3年（1115年）4月28日：中納言
保安3年12月17日（1123年1月）：権大納言　12月21日：皇后宮大夫
長承元年（1132年）8月18日：出家

系譜

父：藤原師実
母：藤原基貞の娘
妻：出雲守基仲の娘
男子：藤原基能（?-1121）
妻：藤原祐家の娘
男子：藤原忠頼
妻：光清の娘
男子：真勝
妻：不詳
女子：中納言忠季室
女子：源師頼室
女子：藤原宗能室
女子：源師隆室
女子：藤原忠宗室

藤原能実は、平安時代後期において、その家柄と才能によって着実に昇進を重ね、重要な役職を歴任した人物でした。彼の生涯は、当時の貴族社会における出世の道筋を示す一例と言えるでしょう。

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