藤原祐家

藤原祐家：平安時代の公卿、その栄光と晩年の不遇

藤原祐家（ふじわら の さちいえ）は、平安時代に生きた公卿です。藤原北家御子左流の家柄で、権大納言・藤原長家の三男として生まれました。

順調な昇進

後冷泉天皇の時代、永承元年（1046年）に元服し、従五位下に叙せられます。その後、永承4年（1049年）には正五位下・侍従、永承5年（1050年）には従四位下と、着実に昇進を重ねました。永承7年（1052年）には17歳という若さで従三位に昇叙され、公卿の仲間入りを果たします。

公卿となってからも、侍従を兼任しながら、左京大夫や左近衛中将といった要職を歴任。天喜3年（1055年）には正三位、天喜5年（1057年）には従二位へと昇進を続け、その将来を嘱望されました。

康平7年（1064年）には参議に任ぜられ、政治の中枢に参画。後冷泉朝末期の治暦3年（1067年）には権中納言に昇任するなど、そのキャリアは順風満帆に見えました。

藤原教通・信長親子との親密な関係

治暦4年（1068年）、後三条天皇が大納言・藤原信長の大宮第へ行幸した際、信長から譲られて正二位に叙せられます。延久2年（1070年）以降は、皇后宮大夫として信長の同母妹である皇后・藤原歓子に仕えるなど、祐家は藤原教通・信長親子と親密な関係を築いていました。

関白職争いと不遇の晩年

承保2年（1075年）に関白・藤原教通が亡くなると、藤原師実との間で関白の座を巡る争いが起こります。内大臣・藤原信長は敗れ、出仕を止めてしまいます。承暦4年（1080年）には、白河天皇と関白・藤原師実によって、藤原信長が太政大臣に祭り上げられるという異例の人事が行われました。

この人事において、首席の権中納言であった祐家は中納言に留め置かれ、次席の権中納言であった師実の嫡子・藤原師通が大納言に昇進します。この人事に不満を抱いた祐家は出仕を取り止めますが、翌永保元年（1081年）には不出仕を理由に職封を停められてしまいます。

その後、後任の中納言である源経信、源師忠、源雅実が次々と権大納言に昇進する一方で、祐家は中納言に留め置かれるという不遇の時代を過ごしました。

寛治2年（1088年）7月28日、祐家は53歳でこの世を去りました。最終的な官位は中納言正二位でした。

官歴

永承元年（1046年）12月9日：従五位下（元服）
永承3年（1048年）正月28日：従五位上
永承4年（1049年）正月5日：正五位下、2月3日：侍従、12月28日：春宮昇殿
永承5年（1050年）9月17日：従四位下
永承6年（1051年）正月6日：従四位上
永承7年（1052年）正月5日：正四位下、2月26日：兼播磨権介、11月3日：従三位
天喜2年（1054年）7月28日：左京大夫
天喜3年（1055年）正月7日：正三位
天喜5年（1057年）正月7日：従二位
天喜6年（1058年）4月24日：兼左近衛中将
康平2年（1059年）2月15日：兼備後権守
康平7年（1064年）3月4日：兼備前権守、10月26日：参議、11月9日：服解
治暦3年（1067年）2月6日：権中納言
治暦4年（1068年）9月4日：正二位
延久2年（1070年）正月29日：兼皇后宮大夫
延久6年（1074年）6月20日：兼皇太后宮大夫
承暦2年（1078年）12月29日：遭母喪
承暦4年（1080年）8月14日：中納言、皇太后宮大夫如元
永保元年（1081年）10月26日：依不出仕被停職封
寛治2年（1088年）7月28日：薨去（中納言正二位）

系譜

父：藤原長家
母：源懿子（源高雅の娘）
妻：藤原憲輔の娘
男子：経覚

参考文献

『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年
『尊卑分脈 第一篇』吉川弘文館、1987年

もう一度検索