藤原能盛

藤原能盛（ふじわらの よしもり）は、平安時代末期に活躍した後白河天皇の近臣です。生没年は明らかではありません。

出自については、藤原良門流の藤原盛景の子とする説と、盛景の義弟である藤原成景の子で盛景の猶子になったとする説があります。出家後の法名は能蓮です。

平清盛の家司を務めた同姓同名の人物がいますが、経歴から別人とする説が有力です。

能盛は後白河天皇に仕え、雙六や今様を通じて天皇の側近として活動しました。天皇の在位中は滝口武士、院政開始後は北面武士として院政を支えました。後白河法皇の御幸には常に供奉し、法皇の影響下にあった仁和寺法金剛院領の筑前国怡土荘預所などを務めています。

保元の乱の際には、藤原頼長の検死役を務めました。仁安2年（1167年）には左兵衛尉に任じられ、翌年には検非違使に任ぜられています。承安元年（1171年）までに叙爵を受けたことがわかっています。承安4年（1174年）に出雲守、治承元年（1177年）に周防守に任ぜられますが、治承三年の政変で周防守を解官されたのを機に出家し、「周防入道」と称して後白河法皇に近侍しました。

歌人としても知られており、『千載和歌集』と『新勅撰和歌集』にそれぞれ1首ずつ和歌が収録されています。

参考文献

中村文『後白河院時代歌人伝の研究』笠間書院、2005年、406 - 407頁。ISBN 4-305-70296-7。
野口実「藤原能盛1」（『平安時代史事典』角川書店、1994年） ISBN 978-4-04-031700-7

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