藤原関雄

藤原関雄（ふじわら の せきお）は、平安時代初期に活躍した貴族であり、優れた文人としても名を残しています。藤原北家の一員であり、参議であった藤原真夏の五男として生まれました。官位は最終的に従五位下・治部少輔にまで昇りました。

若い頃から文章の才能を発揮し、天長2年（825年）には文章生試に合格しています。しかし、関雄は出世を急がず、官界での激務を避けて、京都の東山にある旧居で静かに暮らすことを好みました。自然の中で詩歌を詠み、琴を奏でる日々を過ごしていたため、人々からは「東山進士」と呼ばれていたそうです。

承和元年（834年）、その才能と人柄を高く評価した淳和上皇は、特別に関雄を召し出そうとしました。最初は辞退したものの、最終的には勅命を受け入れ、上皇の側近として仕えることになります。翌年には勘解由判官に任じられますが、多忙な実務を嫌い、数ヶ月後には少判事に転任しています。承和6年（839年）には従五位下に叙爵され、その後は刑部少輔や下野守などを歴任しました。

文徳天皇の時代には、諸陵頭、治部少輔、斎院長官といった役職を歴任しましたが、病気を患い官職を辞したいと申し出ました。しかし、その願いは叶わず、仁寿3年（853年）に49歳で亡くなりました。最終的な官位は、治部少輔兼斎院長官従五位下でした。

関雄は、琴をこよなく愛し、淳和上皇から琴の秘曲を授けられたという逸話が残っています。また、書道にも長けており、特に草書を得意としていました。淳和上皇ゆかりの南池院や雲林院の壁には、彼の筆による文字が書かれていたと伝えられています。和歌にも秀でており、『古今和歌集』には彼の作品が2首収録されています。さらに、漢詩の才能も持ち合わせており、その作品は『経国集』に採録されています。

若い頃に住んでいた東山の旧居は、後に禅林寺という寺院になっています。関雄は、芸術的な才能に恵まれ、自然を愛する風流人として、その生涯を全うしました。

官歴

天長2年（825年）：文章生
承和2年（835年）3月11日：勘解由判官、3月15日：少判事
時期不詳：正六位上
承和6年（839年）正月7日：従五位下
承和8年（841年）5月13日：刑部少輔
承和9年（842年）正月19日：下野守
嘉祥2年（849年）2月27日：刑部少輔
嘉祥3年（850年）6月19日：諸陵頭
嘉祥4年（851年）2月8日：治部少輔
仁寿2年（852年）正月：兼斎院長官
仁寿3年（853年）2月14日：卒去（治部少輔兼斎院長官従五位下）

系譜

父：藤原真夏
母：不詳
妻：大和建宥の娘
次男：藤原水谷
男子：藤原水善
* 男子：藤原貞幹

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