藤原隆季

藤原 隆季（ふじわら の たかすえ）

藤原隆季は平安時代後期に活躍した公卿であり、正二位・権大納言の官位を持つ。彼の父は中納言・藤原家成で、鳥羽院の第一の寵臣とされていた。隆季は幼少期から鳥羽院に仕え、7歳の時に従五位下として初の叙任を受けた。その後、様々な受領職を経験し、右兵衛佐や左馬頭を歴任した。

生涯の主な出来事

隆季は保元元年（1156年）に源義朝が左馬頭に任じられたことを受けて、左京大夫に遷任される。さらに、保元3年（1158年）には従三位に昇り、ついに公卿に昇進した。この時点ですでに政治的地位を確立していた隆季だが、彼の政治的手腕は特に平氏との関係を築くことに寄与した。

平氏は隆季の家族とも親しかった。隆季の妹は清盛の嫡子・重盛の妻であり、さらに自らの嫡子・隆房にも清盛の娘を迎え入れた。これにより隆季は平氏との関係を深め、応保元年（1161年）には参議に任命される。以後、権中納言や中納言と昇進を遂げ、仁安3年（1168年）には権大納言にまで至った。

隆季は「当世の有識」と称され、実務にも秀でていたことから、後白河院からも重用され、院中の権限を握ることとなる。しかし、平氏に対する完全な忠誠は時に危機をも招くことがあった。特に、長寛3年（1163年）には興福寺・延暦寺の抗争に関与し、交流していた平氏とトラブルを起こした結果、放氏されてしまう。

治承の政変とその後

治承3年（1179年）には、後白河院と清盛の関係が破局し、清盛が院政を停止。隆季はその時期に大宰大弐・藤原親信の後任として大宰帥に任じられることとなり、多くの非難を受けた。清盛の重い信任を背にしながら、当時の政治の嵐を乗り越えた隆季だった。

高倉天皇が即位した後、隆季は高倉院の執事別当として活動し、院政を支えた。しかし、以仁王による平氏討伐の計画が発覚すると、隆季は興福寺に対する厳しい態度を取るよう主張し、他の公卿との間で激論を交わした。平氏との関係が保たれていた隆季は、この時点でもその立場を揺るがすことなく維持し続けた。

晩年と死

隆季は治承4年（1180年）に新院別当となり、高倉上皇の信任を受けている。しかし、隆季はその後出家し、元暦2年（1185年）にこの世を去った。彼の一族である六条藤家の影響で和歌にも造詣が深く、『詞花和歌集』にもその作品が収められている。隆季の生涯は複雑な政治状況の中で彼自身の信念を貫いたものであり、平安時代後期の公卿としての重要な役割を果たした。

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