藤原顕長

藤原顕長（ふじわら の あきなが）

藤原顕長は、平安時代後期の公卿であり、藤原北家勧修寺流葉室家、権中納言・藤原顕隆の三男として生まれました。最終的な官位は従二位・権中納言。八条中納言と号しました。

経歴

天永3年（1122年）にわずか5歳で従五位下に叙爵され、その官途をスタートさせました。その後、紀伊国、越中国、三河国、遠江国といった諸国の国司を歴任し、地方行政に携わりました。保元3年（1158年）には参議に任じられ、中央政界での地位を確立。長寛2年（1164年）には権中納言に昇進しました。

平治元年（1159年）の平治の乱後、三条殿が焼失した際、後白河上皇が一時的に顕長邸を仮の御所として利用しました。この時、上皇が邸宅の桟敷から市井の様子を好んで眺めていたのですが、二条天皇親政派の藤原経宗・藤原惟方（顕長の甥）が、上皇に対抗する意図から桟敷を強引に封鎖しました。これが上皇の激怒を招き、経宗と惟方は失脚・配流されるという事態に発展しました。この事件は、当時の政治情勢を色濃く反映するものとして知られています。

仁安元年（1166年）に権中納言の職を辞し、翌年にこの世を去りました。

系譜

父：藤原顕隆
母：源顕房の娘
妻：藤原俊子 - 藤原俊忠の娘
長男：藤原長方（1139-1191）
妻：藤原顕頼の娘
生母不明の子女
男子：藤原憲頼
男子：藤原為明
男子：藤原泰隆
男子：藤原泰房
男子：長真
女子：徳大寺実定室
女子：藤原雅長室
女子：建春門院女房堀川

関連事項

篠井山経塚: 久寿2年（1155年）に顕長が造営したと伝えられる甲斐国の経塚です。
大アラコ古窯跡: 三河国の古窯跡であり、昭和期の調査で顕長の銘が入った陶片が出土しています。このことから、顕長がこの地域の窯業に関わっていた可能性が示唆されています。

藤原顕長は、その生涯において政治の中枢に関わりながらも、文化的な活動にも足跡を残した人物として、歴史に名を刻んでいます。

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