蘭陵郡

蘭陵郡

蘭陵郡は、中国にかつて存在した郡であり、晋代から隋初にかけて現在の山東省臨沂市に設置されていました。

概要

291年（元康元年）、東海郡を分割して蘭陵郡が立てられ、徐州に属しました。しかし、永嘉の乱後、蘭陵郡の本土は五胡の諸国に奪われてしまいます。晋が南渡すると、江乗県に南蘭陵郡が僑置されました。この南蘭陵郡については後述します。

その後、劉裕が南燕を滅ぼすと蘭陵郡の本土は回復されました。411年（義熙7年）に淮北に北徐州が置かれると、蘭陵郡は北徐州に属することになります。

421年（南朝宋の永初2年）、北徐州が徐州と改められると、蘭陵郡は再び徐州に属するようになりました。蘭陵郡は昌慮・承・合郷の3県を管轄していたとされますが、実際にはこれらの県に加えて蘭陵県も含まれていたと考えられています。泰始年間に淮北の地が北魏に奪われると、蘭陵郡は南朝の手を離れることとなりました。

その後、北魏により蘭陵郡は廃止されましたが、547年（武定5年）に東魏により再び立てられ、承城に郡治が置かれました。東魏の蘭陵郡は昌慮・承・合郷・蘭陵の4県を管轄しました。

583年（開皇3年）、隋が郡制を廃すると、蘭陵郡は廃止されて徐州に編入されました。596年（開皇16年）には蘭陵県に鄫州が置かれましたが、607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、鄫州は廃止され、彭城郡に編入されました。

南蘭陵郡

南蘭陵郡は、前述の通り東晋によって江南に僑置されたものです。

421年に南朝宋によって淮北の北徐州が徐州とされ、江南の徐州が南徐州とされると、南蘭陵郡は南徐州に属することになりました。南蘭陵郡は蘭陵・承の2県を管轄していました。

南朝宋の土断によって、南蘭陵郡は東平郡に編入されましたが、502年（天監元年）に南朝梁により南蘭陵郡が武進県で復活し、南東海郡が南蘭陵郡と改められました。

しかし、558年（永定2年）に南朝陳により南徐州に属する南蘭陵郡は再び東海郡となりました。

この様に、蘭陵郡は成立から廃止、そして江南への僑置を経て、再び東海郡へと変遷するという複雑な歴史を辿っています。

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