血と薔薇

血と薔薇：エロティシズムと残酷性の芸術誌

『血と薔薇』は、1968年1[[1月]]に創刊され、わずか1年後の1969年3月に終刊した、日本の芸術雑誌です。責任編集は澁澤龍彥、編集は内藤三津子、製作は矢牧一宏、発行は神彰が務めました。雑誌は「エロティシズムと残酷の総合研究誌」という大胆な標榜のもと、前衛的な写真や文学作品で構成されました。

創刊号：男の死と吸血鬼

創刊号の特集は「男の死・吸血鬼」で、篠山紀信が撮影した、三島由紀夫が聖セバスチャンの殉教者として扮した写真が大きな話題を呼びました。誌面には「『血と薔薇』宣言」が掲載され、コンプレックスを持つ読者への共感と、コンプレックスの少ない読者への新たな刺激を提示する意図が表明されています。

執筆陣は三島由紀夫、稲垣足穂、埴谷雄高、吉行淳之介、種村季弘、澁澤龍彥、加藤郁乎、武智鉄二といった錚々たるメンバー。モデルには三島由紀夫、中山仁、澁澤龍彥、土方巽、萩原朔美、唐十郎、三田明らが参加し、写真撮影は篠山紀信、細江英公、奈良原一高、深瀬昌久、早崎治といった著名な写真家が担当しました。連載には塚本邦雄の「悦楽園園丁辞典」、堂本正樹の「男色演劇史」、高橋睦郎の「わがカーマスートラ」など、刺激的な内容が満載でした。

第2号以降と終刊

第2号の特集は「コンプレックス」、第3号は「愛の思想」と、毎回異なるテーマが取り上げられました。写真家やモデルも各号で異なり、多様な表現が試みられました。第4号「生きているマゾヒズム」は、澁澤龍彥ではなく平岡正明が責任編集を務めました。第5号の予告はありましたが、結局発行されず、『血と薔薇』は幕を閉じました。

復刻版と創刊秘話

2003年には創刊号から第3号までの復刻版「血と薔薇　復原」が、解説書付きで発売されました。また、河出文庫からは「血と薔薇コレクション」として全3巻が刊行されています。種村季弘によれば、雑誌の創刊は「新宿の飲み屋と北鎌倉の酒席で冗談半分に始まった話」だったとされ、当初は「日本読書新聞」に「『血と薔薇』宣言」を発表するなど、センセーショナルな話題作りが行われたようです。関係者のみに配られたという「創刊準備号（0号）」の存在も伝えられています。

『血と薔薇』の意義

短命に終わったものの、『血と薔薇』は、当時の日本の芸術シーンにおいて、エロティシズムと残酷性を大胆に表現した、特異な存在でした。その衝撃的な内容は、現在でも多くの人の関心を集め、様々な解釈を呼び起こしています。多様な表現手法、著名な作家や写真家たちの参加、そしてその短くも濃密な歴史は、日本の芸術史において重要な位置を占めていると言えます。

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