襄州区

襄州区（じょうしゅうく）は、中華人民共和国湖北省襄陽市に位置する市轄区です。この地域は、古くから交通の要衝として重要な役割を果たしており、歴史的に多くの変遷を経てきました。2010年12月、襄樊市が襄陽市に改名された際、それに伴い襄陽区から現在の襄州区へと名称が変更されました。

地理

襄州区は、漢水の中流域、南岸に位置しています。対岸には樊城区があり、古くから関中（陝西省）、中原（河北省・河南省）、長江中流域という三つの重要な地域を結ぶ要の位置にありました。また、漢水沿岸最大の都市として、交通の要衝としての役割を担ってきました。

歴史

襄州区の行政区画としての始まりは、漢初に設置された襄陽県に遡ります。新朝時代には一時的に相陽県と改称されましたが、後漢の成立とともに再び襄陽県に戻されました。後漢末期には、荊州の治所が襄陽に定められたことから、この地の政治的、軍事的な重要度が高まりました。三国時代には、魏・呉・蜀（蜀漢）の重要な係争地となり、襄陽の戦いが繰り広げられました。諸葛亮が隠棲していたとされる隆中山は、襄陽の西北郊外に位置しています。

南宋時代には襄陽府が設置され、北方の金朝や元朝に対する前線基地としての役割を果たしました。特に元朝による襄陽攻略戦（襄陽・樊城の戦い）は激戦となり、回回砲が用いられるなど、当時の軍事技術が駆使されました。最終的に、漢水封鎖により襄陽・樊城間の連絡が絶たれ、宋軍は襄陽を失うことになりました。襄陽は、河岸が船舶航行に適していなかったため、商業は対岸の樊城の方が盛んでしたが、襄陽は政治、軍事、教育の中心地として発展しました。

元朝以降もその重要性は変わらず、元朝は襄陽路、明朝は襄陽府を設置しました。明末には、李自成率いる反乱軍が襄陽を占領し、襄京と改称、ここで大順を建国しましたが、間もなく明軍によって奪還され、大順は西安へと拠点を移し、最終的に明朝を滅亡させることになります。

中華民国建国当初は襄陽道に属していましたが、1927年に道制が廃止された後は湖北省直轄となりました。その後、行政督察区制度の施行に伴い、何度か管轄が変更されました。1930年から1932年にかけては、中国共産党によって襄陽県ソビエト政権が樹立され、鄂豫辺区の管轄下に置かれました。

国共内戦中の1948年、中国共産党がこの地域を実効支配し、襄陽県愛国民主政府を設置しました。1949年、襄陽行政区専員公署が設置され、中華人民共和国成立後は襄陽専員公署の管轄となりました。その後、襄陽地区革命委員会、襄陽地区行政公署と名称が変更されました。

1983年10月、地級市の襄樊市に移管され、2001年には襄陽県が廃止、襄樊市の市轄区としての襄陽区が成立しました。そして、2010年12月には現在の襄州区へと改名されました。

行政区画

襄州区は以下の行政区画によって構成されています。

街道: 張湾街道、劉集街道、肖湾街道、六両河街道
鎮: 竜王鎮、石橋鎮、黄集鎮、伙牌鎮、古駅鎮、朱集鎮、程河鎮、双溝鎮、張家集鎮、黄竜鎮、峪山鎮、東津鎮

関連項目

荊州
樊城区
* 襄陽・樊城の戦い

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