西北科学考査団

西北科学考査団について

西北科学考査団は、1927年から1935年の間、中国の西北部に位置する新疆省や寧夏省を対象に活動した学術的な探検隊です。この探検隊は、通称「中国＝スウェーデン遠征隊」として知られています。中国では「中国科学協会連盟下の北西中国への科学使節」と呼ばれました。この調査隊の隊長を務めたのは著名な探検家スヴェン・ヘディンであり、隊員には主にスウェーデン人や中国人のほかにもドイツ人などが参加していました。

概要

この探検は、スヴェン・ヘディンを中心に構成され、当時の中華民国政府との協力を得て進められました。また、第2期以降には、国民政府主席に就任していた蔣介石の協力や、中国の軍事顧問であったハンス・フォン・ゼークト将軍の支援も得て、その活動が強化されました。

活動期間

第1期（1927年2月 - 1928年5月）

調査の目的は、新たな航空路の設定（ベルリン-北京-上海）にありました。ルフトハンザ社の出資を受けたこの期では、航空に関する専門家が参加し、さらに気象学や地理学、地質学に関する専門家、さらには古生物学、考古学、民族学の学者も加わりました。とはいえ、航空路開設に反対する動きがあったため、ルフトハンザ社は撤退し、調査活動は一時休止を余儀なくされました。

第2期（1928年 - 1933年）

ルフトハンザの撤退に伴い、探検隊は学術調査のみに焦点を当てることになりました。スウェーデンと中国の両政府が共に資金を提供し、寄付金も活用して調査を続けました。この時期には、第一期に設置した観測所の維持が行われるのと同時に、多くの分隊が派遣され、重要な学術的成果が得られました。特にロプ・ノールの移動調査や、居延の漢代遺址の研究、さらには木簡の発見などが挙げられます。

第3期（1934年）

国民政府主導のもと、新疆省と結ぶ自動車道の建設がこの期の主な調査目的でした。ただし、新疆は複雑な政治状況と内戦によって混乱に陥っており、調査隊のメンバーは拘束される事態が発生しました。彼らは他国のスパイだと疑われましたが、その後、ソビエト連邦の領事官によって解放されました。調査活動は続けられ、分隊のメンバーであるフォルケ・ベリイマンは貴重な学術成果を上げました。また、考古学者の黄文弼もこの調査隊に関わっていました。

調査の成果と報告書

この探検の成果は、報告書として纏められ、「Reports from the Scientific Expedition to the North-western Provinces of China under the Leadership of Dr. Sven Hedin」として全55巻がストックホルムで出版されました。これは地理学、測地学、地質学、古生植物学、古生物学、考古学、民族学、気象学、動物学の全11の分野にわたっています。

また、『西北科学考察団叢刊』や『徐旭生西遊日記』（1930年）、黄文弼による『高昌』（1931年）、『高昌専集』（1931年、1951年改訂版）、『高昌陶集』（1933年）などもこの探検の記録として重要です。

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