西原一策

西原一策



西原一策(にしはら いっさく、1893年4月18日 - 1945年1月23日)は、大日本帝国陸軍軍人であり、最終階級は陸軍中将です。1940年の北部仏印進駐の際に締結された「西原・マルタン協定」の当事者として、その名を知られています。

生い立ちと教育



西原一策は、陸軍憲兵大尉であった西原貫洞の三男として生まれました。広島県立広島第一中学校(現在の広島県立広島国泰寺高等学校)を卒業後、広島陸軍地方幼年学校、中央幼年学校を経て、陸軍士官学校へ進みました。陸軍士官学校では25期生として卒業し、同期には武藤章らがいました。

軍歴



1913年5月に陸軍士官学校を卒業後、騎兵科の少尉に任官し、騎兵第5連隊に配属されました。その後、中尉大尉へと昇進し、1922年11月には陸軍大学校を恩賜で卒業しました。卒業後は参謀本部付勤務を経て、東京帝国大学法学部に派遣され、法律の知識も習得しています。さらに、フランス駐在や国際連盟代表随員として海外での勤務も経験しました。

1930年代には、陸軍省軍務局で課員を務め、その後、ジュネーブ軍縮会議全権随員として国際会議にも参加しています。陸軍大学校教官や騎兵連隊長を歴任した後、1937年には参謀本部戦史課長に就任し、上海派遣軍中支那方面軍参謀も兼務しました。

1939年に陸軍少将に昇進し、陸軍大学校幹事を務めた後、1940年には大本営参謀として仏印監視団長に任命されました。この際、北部仏印進駐における「西原・マルタン協定」締結に尽力しました。

その後、陸軍[[騎兵学校]]校長、騎兵集団長を経て、1941年には陸軍中将に昇進しました。太平洋戦争中は戦車第3師団長、陸軍機甲本部長を歴任し、機甲部隊の育成にも携わりました。1945年、終戦を迎える前に死去しました。


北部仏印進駐



北部仏印進駐においては、平和進駐を指示していた中央の意向に反し、富永恭次らが強行進駐を実施したことを嘆き、陸海軍次官宛てに『統帥乱レテ信ヲ中外ニ失ウ』という電文を発したというエピソードも残っています。この電文は、当時の軍部における統制の乱れを象徴する出来事として知られています。


年譜



1913年(大正2年)5月 - 陸軍士官学校卒業(25期)
1913年(大正2年)12月 - 騎兵少尉騎兵第5連隊付
1917年(大正6年)8月 - 騎兵中尉
1922年(大正11年)8月 - 騎兵大尉
1922年(大正11年)11月 - 陸軍大学校卒業(34期、恩賜)
1923年(大正12年)12月 - 参謀本部付勤務
1924年(大正13年)4月 - 東京帝国大学法学部派遣(1927年3月まで)
1927年(昭和2年)3月 - 参謀本部付
1927年(昭和2年)10月 - フランス駐在
1928年(昭和3年)8月 - 騎兵少佐
1929年(昭和4年)1月 - 国際連盟代表随員
1930年(昭和5年)3月 - 陸軍省軍務局付
1930年(昭和5年)8月 - 軍務局課員
1931年(昭和6年)8月 - 軍務局付
1931年(昭和6年)12月 - ジュネーブ軍縮会議全権随員
1932年(昭和7年)8月 - 騎兵中佐
1932年(昭和7年)9月 - 帰朝・陸軍大学校教官
1933年(昭和8年)8月 - ジュネーヴ出張
1934年(昭和9年)12月 - 陸軍兵器本廠付(国際連盟陸軍代表随員)(1934年9月まで)
1935年(昭和10年)3月 - 騎兵第1連隊長
1936年(昭和11年)8月 - 騎兵大佐
1937年(昭和12年)3月 - 参謀本部戦史課長
1937年(昭和12年)8月 - 上海派遣軍参謀
1937年(昭和12年)11月 - 兼中支那方面軍参謀
1938年(昭和13年)3月 - 陸軍大学校教官
1939年(昭和14年)3月 - 陸軍少将
1939年(昭和14年)12月 - 陸大幹事
1940年(昭和15年)6月 - 大本営参謀(仏印監視団長)
1940年(昭和15年)9月 - 「西原・マルタン協定」締結
1940年(昭和15年)12月 - 陸軍[[騎兵学校]]校長(26代)
1941年(昭和16年)10月 - 騎兵集団長・陸軍中将
1942年(昭和17年)12月 - 戦車第3師団長
1944年(昭和19年)1月 - 陸軍機甲本部長
1945年(昭和20年)- 死去

家族



父:西原貫洞(憲兵大尉
長兄:西原貫一(陸軍中佐
次兄:西原貫治(陸軍中将
妻:西原春子(陸軍大将柴五郎の娘)

栄典



1940年(昭和15年)8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

参考文献



秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
* 池田清『海軍と日本』中公新書、ISBN 4-12-100632-1

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