西國坊明學

西國坊明學

西國坊明學（さいごくぼう みょうがく、1849年 - 没年不詳・明治40年代末頃か?）は、九州出身の盲目の僧で、上方（大阪）を中心に活躍した音曲師です。本名は長野明學。名前は西国坊明学、西國坊明学、西国坊明學とも表記されます。

生涯

福岡県出身の明學は、明治初年頃に大阪へ出て、坐摩神社の前で尺八を教えていたと言われています。ある人物の勧めにより寄席に出演するようになり、「十六人芸」（または十八人芸）と称して高座に上がりました。

明學の芸は非常に多岐にわたりました。琵琶を弾きながら平家物語を語ったり、横笛で曲を吹いたり、浄瑠璃を弾き語ったり、即興で都々逸を作ったりしました。中でも得意としたのは、独特の節回しで歌う「推量節」でした。子供から大人まで幅広い層に人気があり、落語全盛の時代にあって、桂派の色物として揺るぎない地位を築きました。その人気は、当時の人気落語家であった桂文左衛門と同等の歩取りであったと伝えられています。

1900年には、三代目桂藤兵衛と協力して「藤明派」を立ち上げました。これは、藤兵衛の「藤」と明學の「明」を取って名付けられたもので、当時の落語界で勢いのあった桂派や三友派に対抗する目的がありました。しかし、藤兵衛の死去や座組の変化などにより、客に飽きられてしまい、わずか2年ほどで解散しました。

明學に関する記録は、1907年2月13日に新聞「鎮西日報」に掲載された「栄の喜座西國坊明學の古流琵琶軍談･十六人芸」という記事を最後に途絶えています。当時、地方巡業をしていたようで、年齢は65歳前後だったと推測されています。その後、故郷である九州に隠居したと考えられていますが、その後の消息はわかっていません。

功績

明學は、SPレコードも吹き込んでおり、「全集・日本吹込み事始」には、俗曲・筑紫琵琶として5曲、物真似が1曲収録されています。これらの音源は、現在も朝日放送の朝日放送ラジオ落語ライブラリーに保管されており、貴重な資料として扱われています。

弟子

西國坊開明
西國坊明士
西國坊學丸
西國坊明花

外部リンク

全集・日本吹込み事始 - 曲リスト

参考文献

諸芸懇話会、大阪芸能懇話会共編『古今東西落語家事典』平凡社、ISBN 458212612X

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