桂藤兵衛

桂藤兵衛

桂藤兵衛（かつら とうべえ）は、落語の名跡です。元々は上方落語の名跡でしたが、現在は東京の落語家もこの名を継いでいます。この記事では、上方と江戸、それぞれの桂藤兵衛について解説します。

月亭春松編の『落語系圖』では、京都落語界の重鎮であった元川傳吉を二代目としています。しかし、墓石や当時の新聞記事など、他の資料では元川傳吉を三代目として扱っています。本記事では便宜上、元川傳吉を上方三代目、当代を東京三代目として記述します。

上方三代目 桂藤兵衛（元川傳吉）

生没年: 1849年 - 1902年5月31日
本名: 元川 傳吉（もとかわ でんきち）
出身: 大坂

経歴

大坂安治川通で米屋の子として生まれ、幼名は龜吉でした。17、8歳の頃に初代桂文枝の男衆となり、文馬と名乗って九郎右衛門町の大富席で前座を務めます。その後、文車と改名し、初代桂文之助門下となり文字助を名乗りました。

一時、東京で六代目桂文治の世話になったり、名古屋で林家延玉門下で修行した時期もありましたが、帰阪後、1882年頃から京都を拠点とします。1885年3月、桂文左衛門門下で三代目桂藤兵衛を襲名。以降、桂派京都の総取締として、京都・新京極の幾代亭に14年間出演し、「桂藤兵衛藤原忠勝入道顋無齋（しむさい）」と自称、「顎無地蔵」という愛称で親しまれました。

1897年頃に桂文左衛門から破門され桂派を追放されますが、1898年夏には新京極の笑福亭に移籍。1900年正月には大阪に進出し、盲人音曲師の西國坊明學と組んで「藤明派」を立ち上げ、桂派・三友派と競い合いました。しかし、翌年秋ごろに心臓の病で体調を崩し、京都に戻り、間もなく肝臓の病を併発して亡くなりました。享年54歳（または53歳）。

芸風

「顋無齋」の名乗り通り、顎が短く、眉が太く、色黒で、木魚に目鼻を付けたような顔で、丸々と肥えた愛嬌のある姿が人気を博しました。木遣崩し、鎌倉節、オッペケペー節、郭巨の釜堀などを得意とし、『三十石』の舟唄を得意としたそうです。

弟子

四代目桂文吾
三代目笑福亭圓笑
桂藤誠
桂藤龍

江戸三代目 桂藤兵衛

本名: 上 弘明（うえ ひろあき）
出身地: 東京都文京区
生年月日: 1952年1月13日
所属: 落語協会
出囃子: 青すだれ

経歴

1969年6月に八代目林家正蔵に入門し、前座名「林家上蔵」を名乗ります。この名前は、かつて四代目林屋正蔵が名乗っていたことがありました。1974年11月に二ツ目昇進。1981年12月には国立演芸場花形若手演芸会新人賞金賞を「そば清」で受賞。1982年1月に師匠の八代目林家正蔵が亡くなると、弟弟子林家正雀と共に兄弟子二代目橘家文蔵一門に移籍しました。1983年4月に弟弟子正雀が先に真打昇進。1984年9月に林家種平、古今亭八朝と共に真打昇進を果たし、三代目桂藤兵衛を襲名しました。1986年3月には、国立演芸場花形若手演芸会新人賞金賞を「竹の水仙」で受賞しています。

芸歴

1969年6月 - 八代目林家正蔵に入門、前座名「上蔵」。
1974年11月 - 二ツ目昇進。
1984年9月 - 真打昇進、「三代目桂藤兵衛」を襲名。

人物

柳家さん遊、四代目入船亭扇蔵と共に定期的な落語会を開催しています。

受賞歴

1981年12月 - 国立演芸場花形若手演芸会新人賞金賞 「そば清」
1986年3月 - 国立演芸場花形若手演芸会新人賞金賞 「竹の水仙」

演目

江ノ島の風
そば清
竹の水仙
胴乱の幸助
万両婿
* らくだ

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