西寺

西寺：平安京の面影を今に伝える史跡

西寺（さいじ）は、平安京の右京、現在の京都市南区唐橋西寺町にあった官寺です。羅城門の西側に位置し、東寺と対をなしていました。その跡地は、「西寺跡」として国の史跡に指定され、歴史を今に伝えています。

西寺の歴史

西寺の創建時期は明確ではありませんが、記録上では797年に笠江人が造西寺次官として登場するのが初見です。815年には造西寺司が任命され、その後、関連する記録が見られないことから、この頃に一応の完成を見たと考えられています。

823年には、嵯峨天皇により東寺が空海に、西寺が守敏に下賜されたという説がありますが、これは伝説的な要素が強いとされています。832年には講堂が完成し、864年までに薬師寺から僧綱所が西寺に移転されました。906年には聖宝が西寺の別当となり、整備を行ったと伝えられています。

990年に火災に見舞われましたが、再建されたと考えられています。1190年代には文覚が塔の修理を行い、明恵が見物したという記録も残っています。しかし、その後荒廃し、1233年に再建された塔も焼失。以降、廃寺になったと考えられています。ただし、1527年の記録には西寺に陣が敷かれたという記述があり、戦国時代中期頃まで存続していた可能性も指摘されています。

西寺が衰退した原因としては、右京の立地条件が悪く、水はけが悪かったこと、平安後期に住民が減少し環境が悪化したこと、そして朝廷からの支援が得られなくなったことなどが挙げられています。

西寺の役割

西寺は、東寺と同様に天皇の国忌を行う官寺としての役割を担っていました。また、律令機構の一端を担う鴻臚館として、外国使節の接遇施設としての機能も果たしていたという説もあります。

遺構と史跡

西寺跡は、1921年に国の史跡に指定されました。1959年からの発掘調査により、金堂、廻廊、僧坊、食堂院、南大門などの遺構が確認され、その後、指定範囲が追加されています。発掘された土壇は講堂跡であることが判明し、東寺とともに平安京の規模を知る上で重要な史跡とされています。

現在、西寺跡には発掘時に出土した金堂の礎石の一部が残るのみで、京都市立唐橋小学校の敷地や唐橋西寺公園となっています。塔跡は小学校の敷地付近にあると考えられていますが、礎石などは地下に埋もれているか、小学校建設時に破壊されたかは確認されていません。2019年には塔跡の推定地で発掘調査が予定されています。

史跡指定地は、唐橋小学校敷地、唐橋西寺公園敷地、およびその周辺の民有地や道路を含みます。

唐橋西寺公園近くには、浄土宗西山禅林寺派の「西寺」が後継寺院として存在します。

文化財

国の史跡
西寺跡 - 1921年3月3日指定、1966年3月22日追加指定

西寺は、平安京の歴史を語る上で欠かせない史跡です。その遺構はわずかですが、かつての壮大な伽藍を偲ばせます。機会があれば、ぜひ訪れてみてください。

参考文献

(参考文献の情報は、提供された資料に含まれていません。必要に応じて追記してください。)

関連項目

羅城門
* 東寺

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