西武田村
西武田
村(にしたけだむら)は、かつて
鹿児島県の中部に位置し、
鹿児島郡に属していた
村です。この
村は、
1934年8月1日に吉野
村や中郡宇
村と共に
鹿児島市へ編入され、自治体としての歴史に幕を閉じました。
村名の由来
村名の「西武田」は、成立時に合併した三つの
村、すなわち西ノ別府
村、武
村、田上
村のそれぞれの頭文字を取って名付けられたものです。
地理
鹿児島郡の中央部に位置していた西武田
村の中央部には、新川(田上川)が東西に流れていました。この河川の流域に広がる平野部には、多くの集落が形成されていました。当時の
村長は小牧三雄氏でした。
西武田
村は、西別府、武、田上の三つの
大字によって構成されていました。その領域は、現在の
鹿児島市内の広範囲に及びます。具体的には、武、田上、田上台、広木、
西別府町、西陵の全域に加え、
紫原、中央町、西田、
上之園町、
武岡、
唐湊、宇宿八丁目、向陽一丁目といった地域の各一部が、かつての
村域に該当します。
また、
1911年の
鹿児島市への一部編入以前の
村域には、現在の天保山町や
高麗町の各一部も含まれており、これらは
大字武に属する
飛地となっていました。
隣接する自治体(編入前)
鹿児島市
鹿児島郡
谷山町
中郡宇
村
伊敷村
日置郡
上伊集院
村
河川
新川(田上川)
歴史
村の成立
西武田
村は、
1889年(明治22年)
4月1日に町
村制が施行されたことに伴い成立しました。これは、鹿児島近在のうちの田上
村、武
村、西ノ別府
村の区域が合併してできたもので、それまでの各
村は新たな
村の
大字として位置づけられました。
村役場は
大字田上字蛭田に置かれました。
1911年(明治44年)、
鹿児島県参事会は、西武田
村のうち
鹿児島市を挟んで位置する
飛地である天保山、八幡田圃および、
大字武の大部分を
鹿児島市へ編入することを決定しました。西武田
村は、水田が多く肥沃な土地であったこれらの区域が編入されることは
村の存続に関わる問題であるとして、強く反対しました。熊本県における市郡の関係を調査したり、当時の内務大臣であった
原敬に
請願を行うなど、編入阻止に努めましたが、その努力は実を結びませんでした。
同年
8月4日付けの
鹿児島県公報に掲載された
告示により、同年
9月30日をもって
大字武の多くの
小字区域が隣接する
鹿児島市に編入されました。これには、通称「八幡田圃」(現在の
鹿児島市立甲南中学校付近)にあたる
小字川ノ口、堤内、一貫地、塚濱、入物田、汐入、四ツ枝、雪之口、濱田の区域(
高麗町へ編入)、通称「天保山」(現在の天保山町の北半分)にあたる
小字天保山の区域(
下荒田町へ編入)などが含まれます。また、編入された
大字武のその他の区域をもって、新たに
鹿児島市の町として武町が設置されました。同時に、
鹿児島市大字荒田のうち城ヶ平、芝生迫などの区域が西武田
村大字田上に編入されています。
桜島地震と被害
1914年(
大正3年)
1月12日、
鹿児島湾を震源とする
桜島地震が発生し、その後の
桜島大正大噴火と共に
村にも被害をもたらしました。
大字田上の天神ヶ瀬戸では、県道が高さ約3.6m、長さ約54mにわたって崩壊する被害がありました。この崩壊により、地震当日に
鹿児島市街から
鹿児島郡谷山
村大字山田へ避難中であった20名以上が巻き込まれました。鹿児島警察署の巡査や西武田
村、谷山
村の住民による救助活動が行われましたが、9名が犠牲となりました。その他にも、田上川の堤防に亀裂が入ったり、田上尋常高等小学校(現在の
鹿児島市立田上小学校)で亀裂発生や液状化現象が発生するなど、各地で被害が出ています。これらの被害については、
1927年(昭和2年)に
鹿児島県によって発刊された「
桜島大正噴火誌」にも詳細が記録されています。
村は、
1934年(昭和9年)
8月1日、
鹿児島郡の中郡宇
村および吉野
村と共に
鹿児島市に編入され、自治体としての西武田
村は消滅しました。実は、
村は最終的な合併の前に、
1929年(昭和4年)
8月1日にも
鹿児島市への編入陳情を繰り返していました。編入直前の西武田
村の人口は4,954人、面積は14.91
平方キロメートルでした。これまで
村の
大字であった西別府、武、田上は、
鹿児島県の
告示「鹿兒島市内
大字名廢止町名改稱竝ニ區域變更」に基づき、それぞれ
鹿児島市の町となりました。
沿革
1889年(明治22年)
4月1日 - 町
村制施行により、武
村、田上
村、西ノ別府
村の区域から西武田
村として成立。
1911年(明治44年)
9月30日 -
大字武の一部などが
鹿児島市へ編入(
高麗町、
下荒田町、武町の新設・編入)。
鹿児島市大字荒田の一部を
大字田上へ編入。
1934年(昭和9年)
8月1日 -
鹿児島郡吉野
村及び中郡宇
村と共に
鹿児島市へ編入され消滅。
地域
教育
田上尋常高等小学校(現在の
鹿児島市立田上小学校)