要害山城

要害山城：戦国時代の要衝、武田氏の山城

要害山城は、現在の山梨県甲府市上積翠寺町に位置する、標高780メートルの要害山（丸山）中腹に築かれた山城です。甲斐国山梨郡に属し、躑躅ヶ崎館（武田氏館跡）の詰城として重要な役割を果たしました。別名、要害城、積翠山城とも呼ばれています。要害山は、その美しい景観から山梨百名山、甲府名山にも選定されています。

歴史

築城は、武田信虎時代の永正17年（1520年）に遡ります。『高白斎記』によれば、信虎が居館を川田館から躑躅ヶ崎館へ移した翌年に、駒井政武の領地であった積翠寺郷の丸山に砦や狼煙台が築かれました。これは、館の詰城としての機能を担うものでした。

同年、駿河の今川氏の武将、福島正成が甲斐へ侵攻し甲府に迫った際、信虎は正室の大井夫人を要害山城に避難させました。その最中、大井夫人は城中で後の武田晴信（信玄）を出産したという逸話が残っています。

武田勝頼期の天正4年（1576年）には、武田氏が要害山城から西方に位置する帯那郷に対し、城の普請を命じた記録が残っています。帯那郷は、その代わりに他の普請を免除されています。

『甲陽軍鑑』や『甲斐国志』によれば、武田氏時代の城番は駒井次郎左衛門、武藤山城、駒井昌直（右京亮）らが務めていました。

天正10年（1582年）の織田信長の武田征伐により武田氏が滅亡した後、徳川氏の支配期を経て豊臣系大名が入城し、加藤光泰によって城の修築が行われました。文禄年間の修築を示す遺構として、穴太積みの石垣が残っています。

『甲斐国志』によれば、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの後、甲斐は再び徳川氏の領地となり、要害山城は廃城となりました。

平成29年（2017年）4月6日には、続日本100名城（128番）に選定されています。

史跡指定

本丸に至る通路、虎口（枡形虎口）、曲輪、堀切、見張台などの遺構が良好な状態で残されており、要所を固める石垣もほぼ完全に残っています。これらの遺構は、戦国大名武田氏の築いた城郭として、また中世豪族の居住形態を示すものとして極めて重要であると評価され、1991年（平成3年）3月30日に「要害山」の名称で国の史跡に指定されました。

登山口には説明板が設置されており、曲輪、土塁、竪堀や門跡など主要な遺構には案内板が設置されています。

熊城

要害山城の支城として、東側をガードするように熊城があります。熊城は標高730メートル付近に位置し、一直線上の小規模な曲輪と堀切・竪堀、石垣が遺構として残されています。中には連続竪堀や登り[[石垣]]状の遺構も確認できます。

アクセス

甲府駅北口からバスで「積翠寺」停留所下車後、登山口まで徒歩約15分。登山口から本丸のある山頂部までは35分程度です。

まとめ

要害山城は、武田氏の歴史と戦略を今に伝える貴重な史跡です。甲府盆地の美しい景色を眺めながら、戦国時代の息吹を感じてみてください。

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