見台

見台について

見台（けんだい）は、書物や譜面を閲覧するために特別に設計された台です。英語では書見台と呼ばれ、書物を置くためのものが書見台、また、日本における音楽や伝統芸能の場面で使用されるものが一般に見台と呼ばれています。現在では、両者を区別して使用することが一般的です。また、見台は仏具の一種にも分類されます。

邦楽における見台

邦楽では見台のデザインが多岐にわたります。見台の形状を通じて、演じられる邦楽の種類を特定することも可能です。たとえば、人形浄瑠璃のパフォーマンスでは、義太夫の前に豪華な蒔絵が施された見台が置かれます。これは太夫が義太夫の台本である床本を置くために使われ、義太夫の語りを支えます。同じく、常磐津では朱塗りの三本脚の見台、清元では黒塗りのシンプルなもの、長唄の際には、足が交差した白木製の見台が使われます。

邦楽においては、語りや唄を演じる際には必ず見台が使用されることが多いですが、楽器の演奏においては譜面台として用いられるのは主に稽古のときです。本番の演奏時には暗譜が基本だからです。一方、能楽では、地謡や楽器の演奏者は見台を使用しません。

落語における見台

落語でも見台が用いられますが、主に上方落語において見られます。上方落語では「膝隠し」と呼ばれる小衝立の裏に机状のものを置くことがあり、これを見台と称しますが、ここに書物を置くわけではなく、張扇や拍子木を叩くために使用されます。講談では、「釈台」と呼ばれる役割を果たす台があり、かつては見台とも称されていました。

江戸落語では見台を使用することは一般的でなく、これは上方落語が辻噺や大道芸として発展したのに対して、江戸落語は屋内でのストーリーテリングとしての文脈から発展してきたためとされています。近年では、2007年時点で東京の寄席では国立演芸場と横浜にぎわい座のみが見台を常備していましたが、2014年に瀧川鯉朝が新宿末廣亭や浅草演芸ホールに見台を寄贈しました。落語協会には、桂吉朝からの寄贈による見台も存在します。

仏教における見台

寺院や家庭の仏壇において、過去帳を載せるための台としても見台は使用されます。宗派によって異なるため、さまざまなスタイルが見られます。浄土真宗では、普段は過去帳は引き出しの中に保管されていますが、命日を確認する際には便利な存在であり、仏壇内の下段に見台を置いて過去帳を収めることも許可されています。

見台は、日本の伝統文化、特に音楽や演劇、宗教的な場において、非常に重要な役割を担っています。これらの場面において、見台は単なる物理的な支えであるだけでなく、それぞれの文化や伝統を支える象徴的な存在でもあります。

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