観音岩山

観音岩山：札幌の自然を凝縮した山

北海道札幌市南区にそびえる観音岩山は、標高498mながらその存在感を示す、魅力的な山です。古くは五剣山と呼ばれ、現在では八剣山という名称も広く用いられています。豊平川の左岸に位置し、頂上付近は鋭く尖った岩峰が連なる特徴的な景観を呈しています。

地質と地形

観音岩山の基盤は、新生代第三紀中新世に形成された板割沢層と呼ばれる地層です。この地層に貫入した安[[山岩]]が山体の大部分を構成し、豊平川に面した箇所では、安[[山岩]]の柱状節理が露出し、見事な地質学的景観を創り出しています。さらに、山頂部はデイサイトという岩石によって形成されており、この複雑な地質構造が観音岩山の独特の地形を生み出していると考えられています。

侵食作用によって、硬い山体以外の部分が削り取られてできた残丘であるという説が有力です。頂上からは西北西、南東、北東の三方に尾根が伸びており、特に南面は切り立った岩場となっており、南西方向から見ると、まるで鋸の刃のような形状をしています。山の中腹までは森林に覆われていますが、頂上付近は高山植物が生息する、変化に富んだ植生が見られます。また、山の西南麓には砥石沢川、東北には東砥山川という小川が流れ、いずれも豊平川の支流となっています。

登山と歴史

標高はさほど高くありませんが、険しい地形と豊かな自然環境から、多くの登山者を魅了しています。短い登山コースながら、道中には険しい箇所もあり、初心者から上級者まで、それぞれに楽しめる要素が詰まっていると言えるでしょう。

観音岩山の東西には、豊平川の左岸に沿って上砥山と下砥山という地区があります。かつて上砥山地区は、山と川に囲まれた河岸段丘で、東西の河岸が切り立った崖で遮断されていました。そのため、下砥山地区と上砥山地区を結ぶ道は、観音岩山の中腹を通る険しい山道となっていました。この道は「嫁泣かせ峠」と呼ばれ、その険しさは往時の生活を物語っています。

1963年に砥山栄橋が開通したことで、山越えの道は利用頻度が減少。1973年には崖崩れにより通行止めとなり、その後放置されていました。この通行不能箇所の解消のため、1997年に札幌市によって八剣山トンネルの建設工事が開始されました。これは、札幌市が施工した本格的な山岳トンネルとしては初めての事業であり、総工費約45億円をかけて整備され、1999年12月に開通しました。延長760mのトンネルは、上砥山と下砥山を結び、地域住民の生活に大きな変化をもたらしました。

豊かな自然とアクセス

観音岩山は、多様な植物が生息する豊かな自然環境と、気軽に登山を楽しめるアクセスの良さから、札幌市民に愛される山となっています。険しいながらも魅力的な登山道、そして、その歴史と自然が織りなす独特の景観は、多くの人々にとって忘れられない体験となるでしょう。アクセスは、札幌市街地から公共交通機関を利用して容易にアクセスでき、周辺には駐車場も整備されています。

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