角田忠行

角田忠行（つのだ ただよし）

角田忠行は、天保5年（1834年）に信濃国佐久郡長土呂村（現・長野県佐久市）に生まれ、大正7年（1918年）に没した国学者・神官です。通称は由三郎。

生涯

生い立ちと初期の活動

角田忠行は、近津神社の神主である角田忠守の次男として生まれました。父は岩村田藩の侍講や藩校達道館の教授を務めるなど、学者としての才能に恵まれた人物でした。弟の角田信道も神官となっています。

安政2年（1855年）に脱藩し江戸へ出奔。藤田東湖に入門後、国学者・平田銕胤の門人となり塾の運営に関わりました。

尊王攘夷運動への参加

文久3年（1863年）には上洛し、足利三代木像梟首事件に首謀者の一人として関与。幕吏に追われ、伊那谷の松尾多勢子邸に潜伏します。慶応3年（1867年）には米川信濃と変名し、澤為量に仕え、戊辰戦争では秋田藩の官軍恭順に尽力しました。

明治維新後の活動

維新後は明治政府に出仕し、皇学所監察、学制取調御用掛、大学奏任などを歴任。その後、賀茂御祖神社少宮司、廣田神社宮司を経て、明治13年（1880年）に熱田神宮大宮司に就任し、大正3年（1914年）までその職を務めました。

角田忠行の著した「葬事略記」は、美濃国苗木藩や信濃国松本藩の廃仏毀釈政策に影響を与えたとされています。

島崎藤村『夜明け前』への登場

島崎藤村の小説『夜明け前』には、「暮田正香」という名で登場しています。

主な著作

古史略
伊吹舎歌集
風の音
葬事略記
熱田神宮略記

参考文献

市村咸人「伊那尊王思想史」
阪本是丸「明治維新と国学者」
芳賀登「日本思想大系51 国学運動の思想」
* 熱田神宮宮庁「角田忠行翁小伝」

角田忠行は、国学者として、また神官として、激動の時代を生きた人物であり、その思想と行動は、日本の近代化に大きな影響を与えました。

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