謝夫人

謝夫人（しゃふじん）

謝夫人（生没年不詳）は、後漢末期の人物で、揚州会稽郡山陰県（現在の浙江省紹興市）の出身です。父は謝煚（しゃけい）、弟は謝承（しゃしょう）です。孫権の最初の正室であり、謝妃とも呼ばれていました。

生涯

父の謝煚は後漢の官僚であり、尚書令や徐県県令を歴任しました。謝夫人は、孫権の母である呉夫人が孫権のために選んだ女性であり、孫権の妃（正室）として迎えられました。孫権からの寵愛も厚かったとされています。

しかし、後に孫権は功臣である徐琨（じょこん）の娘で、孫堅の妹の孫娘にあたる徐夫人を妻として迎え入れました。孫権は謝夫人に対し、徐夫人を目上の者として敬うように望みます。これは、徐夫人の家柄が謝夫人よりも高かったためと考えられます。

謝夫人はこれを受け入れることができず、徐夫人を敬うことを拒否したため、孫権の寵愛を失い、失意のうちに若くして亡くなりました。詳しい死因や没年などは不明です。

謝夫人の弟である謝承は、姉の死後十数年経ってから呉に仕官し、五官郎中に任命されました。その後、長沙東部都尉や武陵太守といった官職を歴任し、それなりの地位を築いたようです。

謝夫人は、孫権の最初の正室でありながら、徐夫人の登場によってその地位を失い、悲劇的な最期を迎えた女性です。彼女の生涯は、後漢末期から三国時代にかけての権力闘争や、女性の地位の低さを物語るものと言えるでしょう。

参考文献

* 『正史三国志6 呉書Ⅰ』 陳寿、裴松之注、小南一郎訳、ちくま学芸文庫

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