護王神社

護王神社の概要

護王神社は、京都市上京区に位置する神社で、和気清麻呂公とその姉である和気広虫姫を主祭神としています。旧社格は別格官幣社で、現在は神社本庁の別表神社となっています。境内には狛犬ではなく狛猪が置かれているのが特徴で、「いのしし神社」とも呼ばれ親しまれています。

歴史

護王神社の起源は、和気氏が創建した高雄山神護寺境内の護王善神社に遡ります。この神社は、和気清麻呂公を祀るために建てられました。正確な創建年代は不明ですが、和気清麻呂公と姉の広虫姫が宇佐八幡宮神託事件で流刑に処せられながらも皇統を守った功績を讃え、孝明天皇が1851年に和気清麻呂公に「護王大明神」の神号と正一位を授けました。これは天皇が人臣に神階を授けた初めての事例です。また、この時、江戸幕府が例外的に下行米を支出したことも特筆されます。

1874年、護王善神社は護王神社と改称され、別格官幣社に列格されました。その後、1886年には明治天皇の勅命により、現在の場所である京都御苑蛤御門前に遷座されました。1915年には大正天皇の即位に際して和気広虫姫が合祀され、広虫姫は孤児救済事業で知られることから子育明神とも呼ばれています。1948年には神社本庁の別表神社に加列されました。

護王神社と猪

和気清麻呂公が宇佐へ配流された際、刺客に襲われたところを300頭の猪が現れて救ったという伝説から、1890年から狛犬の代わりに狛猪が置かれるようになりました。このため、亥年の参拝者が増加する傾向があります。境内には狛猪の他にも、全国から奉納された猪の縫いぐるみや木彫りなどが祀られています。

また、かつて発行されていた十円紙幣には、和気清麻呂公と護王神社が描かれていました。特に1890年発行の紙幣には猪が描かれており、その後の紙幣でも和気清麻呂公の肖像が描かれた10円紙幣は「いのしし」と俗称されました。

和気清麻呂公が足に傷を負ったものの、猪が去った後に傷が癒えたという故事から、護王神社は足腰健康の神社としても知られています。手水舎の霊猪の鼻を触ると「足腰が良くなる」「再びここに戻って来れる」「幸せが訪れる」などのご利益があるとされています。境内には足型の石が敷き詰められた場所もあります。

祭神

主祭神は和気清麻呂公と和気広虫姫で、配祀神として藤原百川と路豊永が祀られています。

境内

境内には、本殿、拝殿、社務所、会館、祝詞舎、警察消防招魂社、さざれ石などがあります。本殿や拝殿などの建物は、明治19年の移転時のものです。また、御神酒には、御神木のかりんの実を使った「かりん酒」があります。

その他にも、中門、祈願殿、聖鳳殿、護王会館、和気清麻呂公像、喜多門、久邇宮家御霊殿、祖霊社、伊勢神宮遥拝所、飛翔親子猪像などがあり、見どころが多くあります。

祭事

護王神社では、4月4日に護王大祭、11月1日に亥子祭が行われます。護王大祭は、明治天皇が定めた和気清麻呂公をしのぶ祭事です。亥子祭は、亥の月、亥の日、亥の刻に餅を食べると病気にならないという言い伝えに由来する祭事です。

アクセス

京都市営地下鉄烏丸線丸太町駅から徒歩約7分、または京都市営バス烏丸下長者町下車すぐです。

護王神社は、その歴史とユニークな狛猪、足腰健康のご利益で、多くの人々から愛される神社です。

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