谷山塩屋町

谷山塩屋町（たにやましおやちょう）とは

谷山塩屋町は、かつて鹿児島県鹿児島市に存在した町です。旧薩摩国谿山郡谷山郷塩屋村を起源とし、その歴史は江戸時代にまで遡ります。2013年11月11日に住居表示の実施に伴い、和田三丁目の一部となり、その歴史に幕を閉じました。

地理

谷山塩屋町は、鹿児島市の南部に位置し、和田川の下流域に広がっていました。かつては鹿児島湾の海岸線に沿って南北に長い町域を有し、製塩業が盛んでした。しかし、1971年から2013年にかけて行われた町域の再編により、徐々にその範囲を狭めていきました。現在の卸本町、東谷山一丁目、小松原一丁目、小松原二丁目、谷山中央二丁目、谷山中央三丁目、谷山中央四丁目、和田三丁目の一部が、かつての谷山塩屋町の領域にあたります。

町名の由来

「塩屋」という地名は、その名の通り、かつてこの地域で塩田が広がり、製塩業が盛んだったことに由来します。海岸沿いの立地が、製塩業に適していたのでしょう。

歴史

塩屋村の成立と近世

塩屋の地名は江戸時代から見られ、薩摩国谿山郡谷山郷に属していました。当初は福本村の一部とされていた時期もありましたが、上塩屋、中塩屋、東塩屋、西塩屋、和田塩屋の5つの地区に分かれていました。塩屋の浦浜には商人が集まり、油や雑貨、海産物、米穀、味噌、醤油などを扱う店が軒を連ねていました。また、山川路（現在の国道226号の前身）が通っていたことも、この地の賑わいを示しています。

17世紀には、薩摩藩主島津光久の命により和田村沖の開発が行われ、19世紀には、この地で薩摩藩による洋式砲術の演習も行われました。この演習を視察した島津斉彬は、演習の総指揮役であった成田正右衛門に質問書を下したと伝えられています。また、斉彬は中塩屋に硝石場を建設しました。

町村制施行から廃止まで

1889年（明治22年）の町村制施行により、塩屋村は周辺の村々と合併し、鹿児島郡谷山村の一部となりました。その後、1924年には谷山村が町制を施行して谷山町となり、1958年には単独で市制を施行して谷山市となりました。この際に、大字であった塩屋は「塩屋町」へと名称を変えました。1967年、谷山市は鹿児島市と対等合併し、鹿児島市の一部となります。その際、塩屋町は「谷山塩屋町」と改称されました。

1970年代には、鹿児島臨海工業地帯の造成に伴い、谷山塩屋町の一部が埋め立てられ、卸本町が誕生しました。その後も住居表示の実施により、東谷山一丁目、小松原一丁目、小松原二丁目、谷山中央二丁目、谷山中央三丁目、谷山中央四丁目、和田一丁目などが次々と設置され、谷山塩屋町の範囲は縮小していきました。

そして、2013年11月11日、和田地区における住居表示の実施に伴い、谷山塩屋町は和田三丁目の一部となり、その歴史に幕を閉じました。

町域の変遷

谷山塩屋町は、その歴史の中で、行政区画の変更や埋め立て、住居表示の実施によって、その姿を大きく変えてきました。かつての広大な海岸線に沿った町域は、工業地帯や住宅地へと変わり、その面影は薄れつつあります。

人口

1995年以降の人口は以下の通りです。詳しい数値は省略します。

施設

2013年の谷山塩屋町廃止時には、以下の施設が存在していました。

塩屋公民館
潮見橋

学区

2010年時点での小中学校の学区は以下の通りです。詳細については省略します。

まとめ

谷山塩屋町は、製塩業で栄えた歴史を持ち、その地名は今もなお、かつての姿を物語っています。しかし、時代の流れと共に、その姿を変え、現在は和田三丁目の一部として新たな歴史を刻んでいます。

参考資料

谷山市『谷山市誌』
角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』
南日本新聞『鹿児島市史 第四巻』
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』
* 南日本新聞『鹿児島市史 第五巻』

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